「古豪タップダンスシチーに賭ける」

投稿者 suwajun さん 
牡馬 43頭 97.7%
牝馬  1頭  2.3%

4歳  27頭 61.4%
5歳  11頭 25.0%
6歳   5頭 11.3%
7歳   1頭  2.3%

1960年から回を重ねること44回。過去の宝塚記念勝馬を調べてみると、有利な馬の傾向は実にはっきりと表れた。
「4歳か5歳の牡馬」とデータは語るのだが、2004年第45回宝塚記念の1番人気は7歳牡馬タップダンスシチーになった。過去1度しか7歳馬は勝ったことがないというのに、何故この馬は人々を惹きつけたのだろうか。
まず始めに、恥ずかしいが正直に書こう。
私は有馬記念でタップダンスシチーが2着に入るまでこの馬の事を知らなかった。ジャングルポケットG1A×、ナリタトップロードG2A○、シンボリクリスエスG2A○、と2002年の有馬記念を買っていた私は、2着タップダンスシチーG3B○・3着コイントスG3A▲という結果に落ち込んでいた。「なんでG3Bなんか来ちゃうんだよ、タップダンスシチーって誰だよ、今年最後のG1なのに・・・」と思っているところに、同じく格理論で競馬予想をしている同僚から携帯に1通のメールが到着。

「万馬券ゲット!全○BOXで取れたよ!」

奥歯をギリギリさせながら続きを読むと、同じく格理論で馬券を買っている知人のAも同じ買い方で万馬券を的中させている!
もうこの瞬間からタップダンスシチーは私にとって放っておけない馬となってしまった。

改めて結果を見てみると、有馬記念で13番人気だったのは何かの間違いだったのではないかと思えるぐらい、実はタップダンスシチーは強い。
2001年秋、1000万下や準OPで6連敗と惜敗を繰り返してきたタップダンスシチーは日経新春杯(G2)に挑戦。12頭立ての6番人気と低評価だったが、ラスカルスズカ、トウカイオーザ、ホットシークレットと強豪が揃うなか、52キロの斤量を活かし2着に入線。その後は春日特別(1000万下)、御堂筋S(1600万下)と1番人気で連勝し、日経賞(G2)にも挑戦。マンハッタンカフェ、コイントス、アクティブバイオと格上のメンバーが揃う中で先行して渋太く粘って2着入線。格もOP級まで上がった。
勝浦騎手を背に、メトロポリタンS、目黒記念、函館記念と3連敗してしまったが、ここでタップダンスシチーは最良のパートナーと巡り会う。当時32歳・リーディング19位の佐藤哲三騎手だ。

佐藤騎手を鞍上に迎えたタップダンスシチーは、朝日CC(G3)をOPB×・5番人気で出走。グランパドドゥ、トウカイパルサーを前に置いてレースを進め、直線きっちり伸びて圧勝し、1分58秒1のコースレコードを阪神競馬場に残した。

思い返せば、この時に気付いてない方がおかしいのだ。
完全に勢いに乗ったタップダンスシチー。続く京都大賞典(G2)ではナリタトップロード、ツルマルボーイの3着。アルゼンチン共和国杯(G2)ではサンライズジェガー、コイントスの3着。格もG3Aまで上がった。
有馬記念まであと1ヶ月となった京阪杯にタップダンスシチ−は登場。2,400m、2,500mから一気に700mもの距離短縮、57キロのトップハンデと悪条件が重なり6番人気。そしてその人気に従うように5着に惨敗した。
明らかに格下(1000A▲サイドワインダー、500C▲ダービーレグノ)と思われる馬に惨敗となれば、人々は急速に冷めてゆく。グランプリ・有馬記念ではタップダンスシチーは14頭立ての13番人気に落ち込んだ。
14頭中、G1級が1頭、G2級が5頭、G3Aが3頭。これだけ上にいればG3Bのタップダンスシチーが霞むのも止むを得まい。

ファインモーションとハナを争ったあと、大きなリードを保って有馬記念の4角を周ったタップダンスシチーはゴール直前、シンボリクリスエスに差されて2着。多くの者は「まぐれ」「展開の利」と、この13番人気馬の2着を決め付けた。

次にタップダンスシチーが現れたのは東京競馬場リニューアル記念(OP)。まぐれで有馬記念2着、トップ斤量58キロを背負わされる6歳馬と思われていたタップダンスシチーは11.3倍の7番人気。
これには私も飛び上がって喜んだ。なにせ格は最上位のG2A。エアエミネムG2C休、レディパステルG3A▲、ロサードG3C×がいたって、まるで問題がなく思えたので単勝を買って観戦した。
前で競り合うシンボリオレゴン、ニシノプロミネンス、ゴーイングスズカをじっくり見て、直線抜け出し楽勝する姿には「これが格ってもんだ」と惚れ惚れさせられた。

続く金鯱賞(G2)でもタップダンスシチーは4番人気。バレないうちにジャンジャン買っておけ、とタップダンスシチーから購入。向こう正面で先頭に立ち、そのまま押し切る強い競馬を満面の笑みで観させてもらった。
タップダンスシチーG2A▲、ツルマルボーイG2A○、エアエミネムG2B▲の3頭で決まった馬券は、馬連・1,170円、3連複・6,330円という高配当となった。

もう十分タップダンスシチーが強い事を知ってるはずなのに、私はまた、過ちを犯す。

続く、2003年宝塚記念のメンバーは凄かった。アグネスデジタルG1A○、シンボリクリスエスG1A休、ヒシミラクルG1B○とG1級が3頭。G2級が6頭という顔ぶれに惑わされた私は開き直って、結局G1Aの2頭で買ってしまったのだ。
直線ジリジリ伸びてきて勝ったのは「まさか」のヒシミラクル。後方から一気に飛んできたのは前年から私が追いかけてきたツルマルボーイ。そして3着にはそれまで強いと信じていたタップダンスシチーが粘った。
終わってみれば納得のいく3頭だった。が、この3頭で馬連・14,080円、3連複・30,290円という馬券を買ってない自分を納得させるのには、随分と時間を要した。
3ヵ月後の京都大賞典は、登録馬を見た段階で2頭立て確定。ヒシミラクルとタップダンスシチーの馬連を買い、ゴール前の勝負を堪能させてもらった。
直線伸びるタップダンスシチーと、追い詰めるヒシミラクル。これは秋が楽しみだ・・・と思っていたのだが、ヒシミラクルはレース後「右前繋靭帯炎」を発症した。
この厳しい戦いの後、タップダンスシチーはジャパンカップに目標を定め、天皇賞(秋)を見送って調整された。
天皇賞(秋)は、宝塚記念からぶっつけで臨んだシンボリクリスエスがレコードで圧勝。史上初の天皇賞(秋)連覇でG1・3勝目を挙げた。

ジャパンカップは、タップダンスシチーのおかげで馬連7,020円という穴を獲らせてもらった。
シンボリクリスエスが強いことはよく、よ〜くわかっていたが、「レコードの反動」を理由に切り捨てて(単に穴が狙いたかっただけ)、タップダンスシチーから流す事にした。相手には、左回りの得意なツルマルボーイ、2冠馬ネオユニヴァース、菊花賞馬ザッツザプレンティ、外国馬で1番強そうだったアンジュガブリエル、武豊のサクラプレジデントを選んだ。
4角を周って、まだ5、6馬身ぐらいのリードを保つタップダンスシチー。坂を上る頃には、もう勝利を確信していた。あとは相手だ。2番手で4角を周ったザッツザプレンティが粘っている!実況はシンボリクリスエスが迫ってきたのを告げる。「来るな、来るなー!」という願いが届いたのか、シンボリクリスエスは重い馬場に苦しみ、いつもほど伸びない。タップダンスシチーは9馬身差の完勝。2着にはザッツザプレンティが入り、私はホクホクで有馬記念に向かえることになった。

1年の総決算、有馬記念。
ここでは、素直にシンボリクリスエスとタップダンスシチーを買った。この2頭のマッチレースになると思っていたが、2、3着には3歳馬が入線。タップダンスシチーはジャパンカップの疲れがあったのか、8着に惨敗した。シンボリクリスエスはレコードで9馬身差を返す快勝。馬券が外れても、いいレースが観れたという思いが強く残った有馬記念だった。

2004年のタップダンスシチーは、宝塚記念、そしてその後に続く凱旋門賞挑戦まで視野に入れ金鯱賞から始動。7歳になってもまるで衰えを感じさせない輝く馬体は、休み明けでも絶好調のように見えた。
抜けた1番人気に応え、サイレンススズカのレコードを塗り変えて勝利。私も儲かっていていいハズなのだが・・・。
欲をかいた私は、ジャパンカップで2着に入ってくれたザッツザプレンティの単複を5千円と1万円ずつ購入。結果はザッツザプレンティは3着、複勝150円。元で還ってくる失態を演じていた。「タップとワイドで230円」「タップの単で230円」とタップダンスシチーを7歳休という理由で買わなかった事を後悔した。
2004.6.27 第45回宝塚記念(G1)

ファン投票では6位となったタップダンスシチーだが、実績では文句なしでナンバー1の馬だった。佐藤哲騎手が騎乗するようになってから3着を外したのは、距離が短過ぎた02'京阪杯と疲労の抜け切らなかった03'有馬記念のみ。
02'有馬記念2着、03'金鯱賞1着、03'宝塚記念3着、03'京都大賞典1着、03'ジャパンC1着、04'金鯱賞1着とこれだけ優秀な成績を収めていれば1番人気もまるで不思議ではない。欲を出さず、戦績だけを見ていれば3.5倍という単勝オッズは高すぎるぐらいだ。

格理論で予想をしてみると、G1級はおらず、15頭立てのうちG2級が8頭、G3級が5頭、OP級が2頭。中でもG2A○は5頭しかいないので、盲目的に買ってしまえば勝利をつかめたのだが、それは今だから言えること。私は「格理論」という武器があるにもかかわらず、欲にくらんだ馬券を購入してしまっていた。
買ったのはシルクフェイマス-ローエングリン-ザッツザプレンティの馬連BOX、トレジャー-リンカーンの馬連、と今見るとなんでこんな馬券買ったのか?と思うような馬券ばかり。直線でまたしても己の愚行を恥じることになった。

遅れる馬もなく綺麗に揃ったスタートで幕を開けた宝塚記念。内からすぐさま先頭に立ち、逃げる態勢を取ったのは横山典騎手騎乗のローエングリン。最外15番枠からスタートしたタップダンスシチーもすぐさま進出、2番手につける。遅れてなるかとホットシークレットが加速して、タップダンスシチーを追い抜いて2番手に上がった。
軽快に飛ばすローエングリンは、向こう正面に差し掛かる頃、後続に5馬身ほどもの差をつける。ホットシークレット、タップダンスシチーと続いて、その後ろにシルクフェイマス。2番人気のゼンノロブロイは7番手、リンカーンが中団やや後方、ツルマルボーイが最後方に控えている。

3角手前で早くもタップダンスシチーが動いた。ローエングリンがややペースを緩めた隙を見逃さずに加速。佐藤哲騎手がグイグイ手綱をしごくと、パートナーには全てが伝わり、単独先頭に踊り出た。内ラチ沿いを回り、上げたペースをまるで落とさずにさらに後続を突き放しにかかる。外から並びかけようとするのはシルクフェイマスだが、追いつく事ができない。直線に入るとタップダンスシチーの首は低く沈み込みスピードが上がる。残り200Mでシルクフェイマスとの差はみるみる開き、4馬身ほどのリード。外からリンカーンも伸びてきたが、どちらも届かない。
最後はジャパンC勝馬の貫禄を見せつけ、余裕たっぷりにゴールを駆け抜けた。
佐藤哲騎手は鞭を振り翳しガッツポーズ、歓声に応えてウイニングランへ。戻ってくると感激を隠さず、ステッキ、ゴーグル、ヘルメットを観客席に投げ込み、1番人気に支持してくれたファン達を喜ばせた。
この後、タップダンシチーは日本代表として堂々と凱旋門賞に参戦する予定だったが、飛行機のアクシデントにより出走を断念。しかしその後、ファンの声と関係者の尽力により出走が可能になったのだが・・・
レースの2日前に現地入りというハードスケジュール、宝塚記念から3ヶ月の休み明けと、不利な材料が揃ってしまい17着惨敗という無念の帰国となった。

再調整されて3ヶ月後に出走したのは有馬記念。
天皇賞(秋)、ジャパンCと連勝してきたゼンノロブロイとの壮絶な戦いに僅か1/2馬身差敗れて休養に入った。


5ヶ月間じっくり調整されたタップダンスシチーは「金鯱賞3連覇」という偉業を成し遂げ2005年の宝塚記念に臨む。ゼンノロブロイG1A休もいるが、1番人気はタップダンスシチーだろう。勝てば「史上初の宝塚記念連覇」「史上初8歳馬の勝利」という記録も残す。
枠順は昨年と同じ15頭立ての15番に入った。これも何かの暗示なのかもしれない。昨年の轍を踏まないためにもタップダンスシチーを、格理論を、そして、タップダンスシチーを見続けてきた自分を信じて、ガッツリ買ってみようと思う。