2003年12月28日
第48回 有馬記念
藤沢和雄調教師。
師は今までにいかなる大レースに勝とうとも、口取り写真に納まった事がない。
2003.6.29 宝塚記念

「大外からツルマルボーイ、ヒシミラクル、天皇賞馬かツルマルボーイか、ヒシミラクル〜!またまたミラクルだ阪神競馬場〜っ!」
Photo:(C)Horses.JP
3歳で天皇賞(秋)と有馬記念を勝ったシンボリクリスエス、皐月賞・東京優駿の2冠馬ネオユニヴァース、G1・6勝アグネスデジタル、金鯱賞勝ちタップダンスシチー、阪神大賞典1着、天皇賞(春)3着のダイタクバートラムと強豪が揃った宝塚記念。
6ヶ月の休み明けながら完璧に仕上がっている様に見えたシンボリクリスエスの馬体。しかしG1は特別だった。菊花賞と天皇賞(春)を勝ったヒシミラクルに0.3秒の差で5着に敗れ、デビュー以来初めて馬券の対象にすら入ることができなかった。
G1級、G2級が相手となったこのレースでは、たとえG1Aのシンボリクリスエスと言えども休み明けでは勝負にならなかった。
「直線で脚が上がった。仕上がりはいいと思ったんだけど、最後はいっぱいだったね。」結果がすべての競馬の世界。師はレースを振り返り、敗因をいくつも探り出し秋へと向かった。
2003.11.2 天皇賞(秋)

「かわした、かわしたシンボリクリスエスが遂に先頭に立った。内からサンライズペガサス、そしてエイシン、ツルマルボーイも上がってきている。しかし、しかし、シンボリクリスエス!今、史上初の盾2連覇!オリビエ・ペリエも笑顔です!」
Photo:(C)Horses.JP
5着に敗れた宝塚記念から4ヶ月余りが経っていた。休み明けでG1を勝つのが困難な事は、十分承知しているはずの藤沢和雄調教師。しかし、休み明けで出走させる事について問う取材には「秋は天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念と3戦を戦うつもりでいる。天皇賞の前にもう1戦走らせるのはかわいそう」と答えていた。
宝塚記念を勝ったヒシミラクルが京都大賞典2着後に右前繋靭帯炎を発症し回避。宝塚記念を3着し、京都大賞典でヒシミラクルを破ったタップダンスシチーも、ジャパンC1本に的を絞って天皇賞(秋)を回避したが、ローエングリン、エイシンプレストン、アグネスデジタル、ツルマルボーイと今回も、G1級、G2級がズラリと揃った天皇賞(秋)。
過去、天皇賞(秋)を連覇した馬はおらず、東京芝2,000Mでは大外枠が非常に不利とも言われていたのだが、それでも1番人気はシンボリクリスエスだった。

同じ轍は踏まない。
馬体重は宝塚記念から10キロも増えていたが、前年の天皇賞(秋)から比べれば増えたのは僅か4キロ。張り詰めた馬体が陽光を浴びて輝いていた。
直線で抜け出し後続を突き放す。余裕を残してゴールを駆け抜けたシンボリクリスエスが出した時計は、1.58.0のレコードだった。
「天皇賞をステップレースにするつもりはない」と戦前から語っていた藤沢調教師。府中の2,000Mで強い勝ち方をした事は大きな自信につながった。
2003.11.30 ジャパンカップ

「タップダンスシチー!逃げ切るとはこういう事だ!魅せてくれました仮柵沿い、タップダンスシチーです!」
Photo:(C)Horses.JP
菊花賞で3着に敗れ、3冠を獲り逃したネオユニヴァース。香港で1度、仏国で2度G1を勝って挑戦してきたアンジュガブリエル。京都大賞典のあと、ジャパンCに向けて調整を続けられてきたタップダンスシチー。そして天皇賞(秋)を連覇し、G1・3連勝に向かうシンボリクリスエス。日本のみならず、海外からも名馬が集まったジャパンC。
「日本でやってるんだから日本の馬が勝たなくちゃ駄目。外国馬の本当の目的はこのレースではない。ここを目標にしている我々が勝たなくちゃ。」と藤沢調教師は語る。
ダート戦のフェブラリーS、3,200Mの天皇賞(春)、1,600Mの安田記念、1,200Mの高松宮記念と、春の古馬G1は、芝中距離を得意とする馬に向いているレースが宝塚記念しかない。やむなく休み明けで臨んだが惨敗。秋初戦の天皇賞(秋)を快勝して、師が最もシンボリクリスエスを走らせたかった東京芝2,400MのG1レースがやってきた。

猛烈な雨に見舞われた東京競馬場の馬場はすっかり荒れてしまっていた。ゲートが開いて最内枠から飛び出したタップダンスシチーが大きくリードを取る展開。2番手に続くのは菊花賞馬ザッツザプレンティ。シンボリクリスエスは中団8・9番手のあたり。
向正面でさらにタップダンスシチーと後続の差が広がってゆく。1頭大きく飛ばしているように見えるが1,000M通過のタイムは1.01.9の平均ペースだ。3角から4角でその差は縮まったかのようにも見えたが、直線に向くとタップダンスシチーはまだまだ余裕のある脚どりで後続を突き放す。遥か9馬身後方で繰り広げられた2着争いを嘲笑うかのように悠々とゴールした。

2003.12.28 第48回 有馬記念(G1)

2003年の有馬記念も、1年を締めくくるのに相応しい豪華な顔ぶれのレースとなった。ファン投票も、単勝支持も1位となったのはやはりシンボリクリスエス。2番人気はジャパンC完勝タップダンスシチー。ファン投票では5位だったが、ジャパンCでの逃走劇はファンの心をつかんでいた。3番人気は神戸新聞杯でサクラプレジデント・ネオユニヴァースに3馬身以上の差をつけて勝ったゼンノロブロイ。この距離と馬場では、菊花賞を勝ちジャパンCで2着したザッツザプレンティよりも高い評価だ。
その年最後のG1。そしてシンボリクリスエスにとって最後になるレース。
陣営が悔いの残らぬように仕上げた馬体は538キロ。師が「やる気が十分に感じられ、逞しさを感じた」と語った黒光りする巨体は他を圧倒していた。
Photo:(C)Horses.JP
格理論で考察してみよう。
G1級はG1AのシンボリクリスエスとG1Cのアグネスデジタルの2頭。天皇賞(秋)では17着に惨敗。さらに、初めて走る2,500Mは、翳りが見え始めたアグネスデジタルにとって明らかに厳しい。
続くG2級はタップダンスシチー、ザッツザプレンティ、ツルマルボーイ、アクティブバイオの4頭。中でも近走全てに○がついているのはツルマルボーイとタップダンスシチーの2頭だけだ。距離適性の高いタップダンスシチーの方が有利な印象は受けるが、6歳という年齢と前走の激走は気にかかるところ。

中心は「G1A」で近走全てに○がついているシンボリクリスエス。年齢は4歳、距離適性も高く、鞍上はここでもO・ペリエ騎手。ここまでに3着を外したのは、6ヶ月の休み明けで出走した宝塚記念のみと非常に安定しており、有終の美を飾ると思われる。

ゲートが開き、まず出て行ったのはアクティブバイオとタップダンスシチー。掛かり気味にザッツザプレンティが3番手。1周目のスタンド前に差し掛かると、佐藤哲三騎手はペースが速いとみたのかタップダンスシチーを抑えて3番手まで下げた。先頭はザッツザプレンティに変わり、離れずアクティブバイオ。大きく間が空いてタップダンスシチー。さらに離れて続くのはゼンノロブロイとリンカーン。シンボリクリスエスがそのすぐ後ろを追走する。脇に残る雪が眩しいコースの中、馬達は縦に点々と散らばり進む。
タップダンスシチーが控えたことでペースは少し落ち着いた。向正面でも馬群は縮まらず25〜6馬身とかなり縦長になっている。
Photo:(C)Horses.JP
3角に入る頃には、長い下りで速度を増した後続が迫って馬群は一気にひとつになった。4角でリンカーンがザッツザプレンティを追い抜き先頭に立つ。シンボリクリスエスも上がってきて、ピッタリくっついたままコーナーを周り直線へ。

「シンボリクリスエス先頭!シンボリクリスエス先頭!シンボリクリスエス先頭!!シンボリクリスエス1着!そして2着にリンカーン!引退の花道、見事グランプリで飾りました!」
直線に向いてからのシンボリクリスエスは、1頭だけ違う世界の馬になっていた。O・ペリエ騎手が追い出すとリンカーンら後続をあっさり突き放しゴールに向かって加速する。差は5馬身、6馬身と広がり、実況がこの馬の名だけを連呼する。その数が10回に達した時が「シンボリクリスエスの」ゴールだった。
直後に着順掲示板にレコードの赤い文字が点いた。1991年のダイユウサク以来12年ぶりに塗り変えられた「2.30.5」の表示にまた歓声があがる。そして大きく開いていた2着との差が表示されるとまたファンは驚かされた。有馬記念史上最大着差となる「9馬身」はジャパンCでタップダンスシチーにつけられた着差と同じだったからだ。

『写真?
恥ずかしくて撮れないよ。馬は一生懸命フーフーフーフー言って上がってくるのに、調教師は何もしないで勝った時だけ得意になってすごいって。フーフー言ってる馬のそばで自分もなんか偉そうに写真撮るのが嫌だから行かないです。
…いつかちゃんとした仕事を、自信ある仕事をした時には撮る(笑)。』
Photo:(C)Horses.JP
2004年秋。
ゼンノロブロイで天皇賞(秋)とジャパンCを制した藤沢和雄調教師。
まだ口取り写真に納まってはいない。




(上記『 』内、2004年12月5日TBSにて放送「情熱大陸 競馬調教師 藤沢和雄」より引用)



2003年 12月 28日
天気 − 晴れ
馬場 − 良

中山 9 R
有馬記念
G1(定量)

芝 右 2500 M   12 頭立

馬    名 性年 斤量 馬体 全格 出走 芝格 出走 休み 連闘 中央 クラ 別定 特別 馬場 頭数 古混 牡混 他条 タイム 人気 オッズ  
1 12 シンボリクリスエス 
ペリエ
4 57.0 538
-2
G1 A 14 G1 A 14
2.30.5 1 2.6  
2 3 リンカーン 
武豊
3 55.0 466
0
OP A 8 OP A 8
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2.32.0 4 8.1  
3 2 ゼンノロブロイ 
柴田善臣
3 55.0 506
+12
G3 A 7 G3 A 7
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2.32.1 3 5.9  
4 1 ツルマルボーイ 
横山典弘
5 57.0 454
-8
G2 A 26 G2 A 26
2.32.2 6 13.2  
5 5 ウインブレイズ 
木幡初広
6 57.0 540
+6
OP A 28 OP A 25
2.32.3 10 64.7  
6 4 ダービーレグノ 
蛯名正義
5 57.0 458
0
OP B 34 OP B 34
×
×
×
×
×
×
×
×
2.32.4 12 78.9  
7 7 チャクラ 
後藤浩輝
3 55.0 466
+8
G3 A 12 G3 A 10
2.32.6 8 39.8  
8 6 タップダンスシチー 
佐藤哲三
6 57.0 506
+4
G2 A 32 G2 A 32
2.32.8 2 3.9  
9 11 アグネスデジタル 
四位洋文
6 57.0 466
-2
G1 C 31 G1 C 12
×
×
×
×
×
×
×
×
2.32.8 7 17.4  
10 9 ファストタテヤマ 
安田康彦
4 57.0 458
-2
G3 B 21 G3 B 21
2.33.9 11 65.7  
11 8 ザッツザプレンティ 
安藤勝己
3 55.0 502
+6
G2 A 9 G2 A 9
2.34.2 5 8.7  
12 10 アクティブバイオ 
武幸四郎
6 57.0 504
+4
G2 B 38 G2 B 38
×
2.36.1 9 58.1  

 

単勝 12 260 円 1 人気
複勝 12 120 円 1 人気
3 230 円 5 人気
2 170 円 3 人気
枠連 3 - 8 1060 円 4 人気
馬連 3 - 12 1290 円 5 人気
ワイド 3 - 12 490 円 6 人気
2 - 12 300 円 2 人気
2 - 3 680 円 9 人気
馬単 12 - 3 1980 円 8 人気
三連複 2 - 3 - 12 1720 円 6 人気
三連単 発売なし   円   人気