2003年11月30日
第23回 ジャパンカップ
Photo:(C)Horses.JP
天高く馬肥ゆる秋。 夏を越え、古馬達と過酷な戦いを経て着実に力をつける3歳馬たち。 菊花賞が終われば3歳馬だけで行われるレースもなく、その身につけた力を試すべく果敢に古馬混合G1にも挑戦してゆく。天皇賞(秋)、エリザベス女王杯、マイルCS、ジャパンC、ジャパンCダート、有馬記念。それぞれの舞台で待ち受けるのは、より豊富な経験を積んだ歴戦の猛者たち。その対決を観るのもまた競馬の醍醐味のひとつだ。 その中でもジャパンCとジャパンCダートでは国内の古馬たちだけでなく、海外で優秀な成績を収めた名馬たちとも戦わねばならない。 1993年から2002年までの10年間でこの2つのG1に挑んだ3歳馬の数は39頭。うち見事に連対を果たしたのは4頭おり、そのうち3頭が栄冠を手にしている。 2003年のジャパンカップでも1頭の3歳馬が強豪相手に2着に入る活躍をみせた。
2000年。
4歳牝馬特別を勝ったマニックサンデー、小倉大賞典で2着し巴賞にも勝ったウインシュナイトを出したバブルプロスペクターがダンスインザダークを相手に1頭の牡馬を生んだ。バブルプロスペクターはバブルガムフェローと姉弟という関係にありその繁殖成績にも期待をかけられていたのだが、見事その期待に応えてみせた。
産まれたその牡馬に与えられた名前は「ザッツザプレンティ」。

ザッツザプレンティはデビューから圧倒的な強さを見せつけた。河内騎手を背に後続を3馬身半も離して新馬戦を勝利し京都2歳Sへ。ここでは後の朝日杯FS勝馬エイシンチャンプに僅か3/4馬身遅れをとってしまったが、続くラジオたんぱ杯2歳Sでは2着のチキリテイオーを4馬身後方に置き去り、翌年のクラシック候補の1頭と目された。
休養を挟み、次にその姿を現したのは弥生賞。ラジオたんぱ杯での勝利を高く評価され、しかも鞍上が武豊騎手に強化されたことで、ここでのザッツザプレンティは単勝1.5倍という高い支持。
しかしここで不運としか言いようがないアクシデントが襲う。スタート直後に左前脚を落鉄してしまったのだ。ここまで好位を走って勝ってきたザッツザプレンティがなんと10番手を進む。直線でも見せ場を作るどころか他馬に前をカットされる不利を被り6着に惨敗した。
Photo:(C)Horses.JP
皐月賞では、はっきりとした勢力図が描かれた。優勝候補筆頭はきさらぎ賞・スプリングSと連勝したネオユニヴァース。鞍上も前走同様デムーロ騎手の騎乗となり1番人気に。その次に続くのは朝日杯FS・スプリングSともに2着のサクラプレジデント。本番での巻き返しに鞍上の田中勝騎手も自信を覘かせる。3番手は朝日杯FS、休み明けの弥生賞を連勝したエイシンチャンプ。この馬達が「3強」と称された。
武豊騎手から鞍上は安藤勝巳騎手に替わり、ザッツザプレンティは5番人気だ。
3冠ひとつめ皐月賞。小雨が降る中でも観衆の熱気は下がらない。ゲートが開き、大歓声とともに各馬が飛びだしてゆく。
ザッツザプレンティのスタートはスムーズにいかなかった。出る時にゲート右壁に体をぶつけてバランスを崩し外のサイレントディールに接触すると、さらによろけて内のブラックカフェにも当たってしまい頭に血が上ってしまった。懸命に安藤勝巳騎手が抑えるがかなわず、首を高く上げて外から上がってきたチキリテイオーを追いかけてしまう。向正面にかかる頃には、内から上がってきたエースインザレースの後ろにつけて3番手に。前の2頭は前半1000M61.7秒という超スローペースでレースを進めた。ザッツザプレンティはこの遅いペースにも苛立ちを隠せずにいる。
各馬一団となって最後のコーナーを周ると、ここからは瞬発力勝負の叩き合いに。内に僅かにできた隙間を抉じ開けてネオユニヴァースが抜け出してくる。外からはサクラプレジデント。2頭が並んで加速し直線では壮絶なデッドヒートになった。何発も鞭を打ち込むM・デムーロ騎手、グイグイと首を押し込む田中勝春騎手。どちらも一歩も譲らない戦いだったがゴールを先に通過したのはネオユニヴァース。僅か頭差の勝利だった。
厳しい戦いだっただけにM・デムーロ騎手の感激も大きかった。観衆に向けて拳を2度突き上げると、その左手で隣を走る田中勝春騎手の頭をスパーンと一発打ち、歓喜の笑みで話しかける。田中勝春騎手は悔しそうに唇を噛み顔を上げる事はなかった。
折り合いを欠いたザッツザプレンティは直線伸びず、次々と後続に追い抜かれ8着に惨敗した。
皐月賞を勝った馬とそれ以外の馬。立場は大きく違っても目指すところは同じである。3歳馬の頂点、東京優駿。
ここでのザッツザプレンティは前走惨敗もあり7番人気。主役は皐月賞馬ネオユニヴァース。2番手は皐月賞惜敗サクラプレジデント。青葉賞馬ゼンノロブロイがそのあとに続く。
本来ならばこの時期のM・デムーロ騎手はイタリアで乗っているジョッキーだ。しかし5年契約を結んでいる調教師との間に「日本で騎乗したい時はいつでも行ってよい」という新たな項目まで設けて、日本に、そして東京優駿にやってきた。

各馬揃った好スタート。まず出ていったのはエースインザレース。他に行く馬もおらず、あっさり単騎逃げに持ち込む。ゼンノロブロイ、サクラプレジデントがすぐ後に続き、前の方で競馬を進める。ザッツザプレンティは中団10番手あたり、ネオユニヴァースは中団やや後方からじっくりと攻める構え。
Photo:(C)Horses.JP
4角に差し掛かり、前日の雨で荒れた馬場を避けるように馬群が大きく横に広がる。その中からまず抜け出してきたのはゼンノロブロイ。ゴール目がけてスパートをかけると、内からはネオユニヴァースが伸びてきて、外からはザッツザプレンティが迫っていく。脚色がいいのはネオユニヴァースだ。先頭に立ち、そのトップスピードを維持するともう後ろの馬達は追いつく事ができなかった。
勝ったM・デムーロはクルリと鞭を回して振り下ろし観客の声援に応えた。平成9年のサニーブライアン以来、6年ぶりの2冠馬誕生の瞬間に立ち会えた人々は戻ってきたM・デムーロ騎手にひときわ大きな歓声を送る。M・デムーロ騎手は顔をしわくちゃにし、左手の袖で涙を拭った。
ザッツザプレンティは3着。道中はリズムよく走り、安藤勝巳騎手も「思ったとおりに乗れた。上位2頭と力の差はない」とコメント。秋に大きな期待を抱かせるレースとなった。
サクラプレジデント・ネオユニヴァース・ゼンノロブロイ・ザッツザプレンティ。「春」の中心だった馬が揃って登場した神戸新聞杯。
東京優駿のあと、宝塚記念に出走して4着に敗れたネオユニヴァースはここでは2番人気。札幌記念で鞍上に武豊を迎え、エアエミネムを負かして勝ったサクラプレジデントが1番人気だ。
レースが終わったとき、勝者になっていたのはK・デザーモ騎手騎乗のゼンノロブロイ。好位から抜け出して、2着のサクラプレジデントに3馬身半もの差をつける圧勝だった。ネオユニヴァースは3着、ザッツザプレンティは5着に敗れたが、どの馬もこのあとに続く菊花賞に向けて調整は順調に進んでいるようだ。

3歳馬達が初めて経験する3000M。この距離が観る者を迷わせ、悩ませる。また、春に活躍した馬だけでなく、夏を越えて大きく成長した馬がこのレースで好走する事も多い。「強い馬が勝つ」と言われる菊花賞。ここから翌年の中心となる馬も多く目が離せないレースだ。
1番人気は2冠馬ネオユニヴァース。ここを勝って9年ぶりの3冠馬となることができるか。2番人気はこのネオユニヴァースに前走で完勝したゼンノロブロイ。ザッツザプレンティは5番人気の評価。
スタートがうまくいかなかった馬が多く、ばらばらと飛び出していく。ゼンノロブロイとネオユニヴァースもやや出遅れた。内から好スタートのサウスポールを外からシルクチャンピオンが抜かしていき逃げる態勢。前半1000Mは1.00.6の平均的な流れ。
残り800M、下り坂で加速しザッツザプレンティが先頭に踊り出る。この馬の脚質を熟知した安藤勝巳騎手の好判断だ。そのすぐ後ろにネオユニヴァースを従えて4角を周り、ゴールまで粘りこみを狙う。
ここからの叩き合いは壮絶なものだった。何発も鞭を叩き込まれ、内で粘るザッツザプレンティ。M・デムーロ騎手の鞭に応えて速度を上げるネオユニヴァース。2頭が抜け出して必死にゴールに向かう。ザッツザプレンティの持久力は素晴らしいものだった。早目に抜け出したにもかかわらず、そのスピードは下がるどころか上がってゆく。ジリジリと2頭の差が開き始めたとき、仕掛けをギリギリまで遅らせた武豊騎手のリンカーンが外から弾け跳んできた。一気にネオユニヴァースを捉えたがそこまで。ザッツザプレンティは4角から1度も並ばれる事なくゴールを駆け抜けて菊花賞の栄冠を手に入れた。

2003.11.30 ジャパンカップ(G1) 東京 芝2,400M

ジャパンカップとは名ばかりで、世界から一流の馬が集まらない事も多いこのレースだが、2003年はかなりの豪華な顔ぶれとなった。
外国馬は出走馬18頭のうち、半分の9頭。サンクルー大賞を連覇し香港ヴァーズにも勝っているアンジュガブリエル。ハリウッドダービー、ブリーダーズカップターフを勝ったジョハー。アメリカでG1・4勝デノン。英国でG1を4勝しBCフィリー&メアターフでも勝ったイズリントン、と各国から一流の馬達が参戦してきた。

迎え撃つ日本馬勢は、前年有馬記念を勝ち、天皇賞(秋)を連覇したシンボリクリスエス、2冠馬ネオユニヴァース、金鯱賞、京都大賞典を勝ち、宝塚記念でも3着と好走したタップダンスシチー。菊花賞馬ザッツザプレンティとこちらも劣らぬ名馬が揃った。

格理論で考察してみよう。

外国馬達を日本はトップクラスの馬達で迎えたといっていいだろう。
格最上位はシンボリクリスエスのG1A。余程の戦績を残さなければ辿り着けないG1級に、僅か11戦で登りつめたその能力は計り知れない。ここまでに3着を外したレースは6ヶ月以上の間隔で出走した宝塚記念のみ。今回は良馬場の天皇賞(秋)を勝っており近走は全てに○がついている。鞍上は今回もO・ペリエ騎手で、間違いなく日本の中心はこの馬だ。
G2級は6頭。同じく天皇賞(秋)で2着に入ったツルマルボーイと、京都大賞典でG1Aのヒシミラクルを破ったタップダンスシチーの近走が全て○。いずれも距離適性が高く好走が期待できそうだ。
3歳馬の参戦は3頭。ネオユニヴァースにM・デムーロ騎手、ザッツザプレンティに安藤勝巳騎手の2頭がG2A。そしてこの2頭と熱戦を演じてきたサクラプレジデントには武豊騎手と、いずれも10戦未満の経験しか無い3歳馬達をフォローするように鞍上には名手達が配された。
Photo:(C)Horses.JP
開催最終日。しかも前日から降り続き、ようやく昼前にあがった雨は馬場をすっかり荒れさせていた。メイン競走までになんとか不良馬場から重馬場まで回復はしたが、とてもいいコンディションとは言えない。
曇天の下、ジャパンカップのゲートが開いた。ツルマルボーイとスルーヴァレイが少し遅れたが、まずまず揃ったスタートとなった。内から出て行ったのは1枠1番タップダンスシチー。最内枠の利を活かし一気に先頭に立つと単騎の逃げをうつ態勢。仮柵が移動し、さほど悪くない最内を進んでいく。2番手にはスタートしてすぐに上がってきたザッツザプレンティ、アクティブバイオが続く。
2角を周り、向正面に入る頃にはさらに間が開く。7〜8馬身も後続を離し気持ち良さそうにタップダンスシチーが駆けてゆく。軽快に飛ばすタップダンスシチーを除いた、馬群の先頭はザッツザプレンティ。誰もが直線で捕まる逃げ馬の姿を想像し、このひとつの塊から抜け出してきた馬が勝つと信じていた。おそらく佐藤哲三騎手以外の騎手もそう思っていただろう。
3角手前ではその差がさらに開き、間が10馬身以上にもなると観客席からどよめきが起こる。後続の馬達も事態に気付き一気に追い上げてきた。4角を周りきる頃にはその差は5馬身ほどにまで縮まった。
直線に入り高低差2.7Mの坂を上がってもまだタップダンスシチーは失速しない。それどころか更に伸びて後続を引き離す。7馬身、8馬身とその間は広がっていく。必死に2番手で粘っているのはザッツザプレンティ。後ろから迫ってきたのはシンボリクリスエスとネオユニヴァース。王者の意地、菊花賞馬の意地、2冠馬の意地がぶつかりあう。馬場中ほどから3番手まで追い上げてきたが、堪えるザッツザプレンティを躱すことはできない。タップダンスシチーに1.5秒、9馬身もの差をつけられて後続の3頭は並ぶようにゴールした。
1着は圧勝タップダンスシチー。2着はザッツザプレンティ、3着シンボリクリスエス、4着にはもう1頭の3歳馬ネオユニヴァースと続いた。2003年のジャパンカップは日本馬の独壇場となった

1996年のファビラスラフイン、1998年のエルコンドルパサー、2000年JCDのクロフネ、2001年のジャングルポケット。
古馬、そして外国馬と互角に渡り合えるほどの能力を持つ3歳馬が時折現れる。
ザッツザプレンティも秋を迎えて大きく成長した姿を私達に見せてくれた。これからも臆することなくジャパンカップに挑み、そして好成績を残すような3歳馬が必ず私達の前に現れる。



2003年 11月 30日
天気 − 曇り
馬場 − 重

東京 10 R
ジャパンカップ
G1(定量)

芝 左 2400 M   18 頭立

馬    名 性年 斤量 馬体 全格 出走 芝格 出走 休み 連闘 中央 クラ 別定 特別 馬場 頭数 古混 牡混 他条 タイム 人気 オッズ  
1 1 タップダンスシチー 
佐藤哲三
6 57.0 502
0
G2 A 31 G2 A 31
2.28.7 4 13.8  
2 10 ザッツザプレンティ 
安藤勝己
3 55.0 496
+4
G2 A 8 G2 A 8
×
2.30.2 5 14.0  
3 5 シンボリクリスエス 
ペリエ
4 57.0 540
+6
G1 A 13 G1 A 13
2.30.3 1 1.9  
4 8 ネオユニヴァース 
デムーロ
3 55.0 488
-4
G2 A 10 G2 A 10
2.30.3 2 7.0  
5 11 アクティブバイオ 
武幸四郎
6 57.0 500
+2
G2 B 37 G2 B 37
×
2.30.5 15 123.6  
6 17 タイガーテイル 
ジレ
4 55.0 460
+6
A 13 A 1
2.30.6 14 110.5  
7 9 アンジュガブリエル 
ジャルネ
5 57.0 514
0
B 20 B 0
×
-
-
-
-
-
-
-
-
2.30.7 3 12.1  
8 2 デノン 
ナカタニ
5 57.0 458
0
B 19 B 0
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2.30.8 7 19.7  
9 14 イズリントン 
ファロン
4 55.0 466
0
B 14 B 0
×
-
-
-
-
-
-
-
-
2.31.0 8 19.9  
10 12 ダービーレグノ 
幸英明
5 57.0 458
+6
OP A 33 OP A 33
×
×
×
×
×
×
×
×
2.31.2 18 143.3  
11 18 サンライズペガサス 
柴田善臣
5 57.0 482
-6
G2 A 14 G2 A 14
×
×
×
×
×
×
×
×
2.31.3 12 51.8  
12 6 アナマリー 
ルメール
4 55.0 454
+6
B 19 B 1
×
×
×
×
×
×
×
×
2.31.3 17 141.1  
13 15 スルーヴァレイ 
シャヴェ
6 57.0 560
0
B 22 B 0
×
-
-
-
-
-
-
-
-
2.31.3 16 134.5  
14 3 サクラプレジデント 
武豊
3 55.0 480
-8
G3 A 9 G3 A 9
2.31.4 10 21.1  
15 7 ツルマルボーイ 
横山典弘
5 57.0 462
+2
G2 A 25 G2 A 25
2.31.9 9 20.6  
16 13 ジョハー 
ソリス
4 57.0 478
0
B 15 B 0
×
-
-
-
-
-
-
-
-
2.35.6 6 16.1  
17 16 サラファン 
エスピノ
6 57.0 510
0
A 35 A 2
×
-
-
-
-
-
-
-
-
2.35.9 13 55.1  
18 4 フィールズオブオマ 
キング
6 57.0 524
0
B 26 B 0
×
-
-
-
-
-
-
-
-
2.38.2 11 39.1  

 

単勝 1 1380 円 4 人気
複勝 1 280 円 3 人気
10 300 円 5 人気
5 110 円 1 人気
枠連 1 - 5 2290 円 11 人気
馬連 1 - 10 7020 円 26 人気
ワイド 1 - 10 1710 円 22 人気
1 - 5 470 円 2 人気
5 - 10 570 円 4 人気
馬単 1 - 10 15660 円 47 人気
三連複 1 - 5 - 10 4210 円 12 人気
三連単 発売なし   円   人気