2003年11月23日
第20回 マイルチャンピオンシップ
Photo Data:(C)Carrot Lunch
走破時計
1分33秒3
前半3ハロン
36.8秒
後半3ハロン
33.5秒

これは2003年のマイルチャンピオンシップ(CS)で優勝したデュランダルの時計である。
2000年に記録されたマイルCSのレコードタイムは1分32秒6。デュランダルの時計はこれより0.7秒遅れるが、勝ったアグネスデジタルの刻んだ後半3ハロン34.3秒に対しては0.8秒も上回っている。この「34.3秒」はこの年のマイルCSで最も速く、観ている者を圧倒した末脚が叩き出したものだった。
2000年秋マイルCS。
春、シンザン記念・スプリングSと連勝し皐月賞でもエアシャカールの2着に好走したダイタクリーヴァが、長距離適性の低さから菊花賞を見送って出走。直前の9Rで主戦の高橋亮騎手が落馬負傷し、安藤勝騎手に乗り替わる事態となり混戦模様の中から1番人気に押し上げられた。2番手には前年のこのレースで3着し、続くスプリンターズSで勝利を収めたブラックホーク。そしてNHKマイルC馬シンボリインディが続く。
Photo Data:(C)Carrot Lunch
なかなか揃ったスタート。やや遅れたのはエイシンプレストン。内から池添騎手のヤマカツスズランが出てきて先頭に立ち、そのすぐ後ろにはダイワカーリアン。2頭が速度を落とすことなくレースを引っ張る。前半3ハロンは34.0秒、4ハロンは45.3秒。マイルCS史上3番目のハイペースでラップを刻む。ダイタクリーヴァは13、4番手。その後ろにアグネスデジタル、マイネルマックス、メイショウオウドウ、ビーチフラッグらが続く。急坂を越え平坦な直線へ。後方で待機していた馬達も勢いをつけ前に迫る。ダイワカーリアンとヤマカツスズランが粘っているところに、そのすぐ後ろにいたダイタクヤマトが伸びてきて一気に抜き去る。かなりの勢いだが、その勢いをさらに上回る脚でダイタクリーヴァ。この2頭で決まるか、というところに内から12番人気のメイショウオウドウが伸びてきて力を使い果たしたダイタクヤマトを追い抜く。
内で壮絶な戦いが繰り広げられているそのときに大外から1頭の馬が翔てきた。テレビで観戦していた者はその存在にゴール直前まで気付けなかっただろう。
「大外からアグネスデジタル!大っ外からアグネスデジタル!!」
カメラがアナウンスに呼応するように画面を広げ、次々と順位を上げて先頭に迫る13番人気アグネスデジタルを捉える。
まさに豪脚一閃。最後方で溜め込んだ力の全てをその脚に注ぎこんで、1/2馬身ダイタクリーヴァを差し切った。

電光掲示板には「レコード」の赤い文字が輝く。
「展開の利」を唱える者も多かったが、前を走る馬達がアグネスデジタルと同じ末脚で走れる強さを備えてさえいれば、栄冠もレコードもその馬のものだったのだ。
史上3番目というハイペースで飛ばしていた前の馬達を、出走したメンバー中最速の末脚で抜き去る強さがアグネスデジタルにはあったと言えよう。
同じ距離で競走するのだから、前を走る馬の方が本来は遥かに有利だろう。実際その事を証明できるような強い逃げ馬は過去に何頭も存在した。しかし、その一方で最後方からしかうまくレースを運べなかったり、止むを得ず後方からになってしまっても差し切って勝利する名馬が何頭もいる。

デュランダルもそんな後者の中の1頭だ。
良血馬で武豊騎手騎乗とあって断然の1番人気で出走した新馬戦では2馬身出遅れたが、外から出走馬中1番の末脚で伸びて勝利。
8ヶ月後の有田特別(500万下)でも出遅れて1馬身不利になるも古馬相手に堂々の2着。
続く筑紫特別では出遅れず後方につけて、直線大外から伸びて勝利したのだが、ムーンライトH(1000万下)ではまた1馬身出遅れて鼻差の辛勝。
5戦目で早くも白秋S(1600万下)に挑戦。
「断然の1番人気」→「出遅れ」→「大外一気の追い込みで勝利」という、危なくも爽快な走りはファンの心を掴み、ここでもやはり断然の1番人気。
2馬身とまた大きく出遅れて後ろから2番手を進んだが直線は上がり3ハロン33.3秒の末脚を繰り出して勝利した。
Photo Data:(C)Carrot Lunch
5戦4勝。まだまだ底を見せないデュランダルは3歳でG1・マイルCSに挑戦する。鞍上は初めて跨る四位騎手に替わりここでは7番人気。
今回は出遅れることもなくいつもの場所・最後方につけて進み、4角で大外に持ち出す得意のパターンに持っていったのだが、やはりG1は厳しかった。穏やかな流れから直線は激しい叩き合いになり、クビ・ハナ・クビ・アタマと並んだゴール前。そこにデュランダルの姿は無かった。
勝ったのはトウカイポイント。レースレコードに0.2秒まで迫る1.32.8の激走だった。

さらに適性を模索し距離を伸ばしたディセンバーS(OP・1800M)では勝ったローエングリンから0.7秒も遅れる4着惨敗となったが、1ヶ月後のニューイヤーSは3馬身という今までで最も大きい出遅れから、直線ではただ1頭34秒台の末脚を披露して勝利。
そのあと再び1800Mの中山記念にも出走したが、今度は勝馬ローエングリンから2.6秒も遅れる9着大惨敗となり、休養に入った。
秋を迎えたデュランダルはとても強くなっていた。ゲートに入ると怯んで出遅れる癖は相変わらずだったが、その出遅れをカバーする末脚にはより磨きがかかっていた。
陣営は春の経験を活かし短距離に狙いを定める。
ビリーヴ・テンシノキセキ・アドマイヤマックスと一流どころが揃ったセントウルSで3着に入るとスプリンターズSに向かった。
Photo Data:(C)Carrot Lunch
1番人気はここが引退レースのビリーヴ。休み明けのセントウルSで2着に踏ん張り、叩き2戦目でここは磐石の構え。このときにビリーヴを破ったテンシノキセキは4番手、堅実な走りを見せるアドマイヤマックスが2番手で、3番手には破竹の5連勝レディブロンドがつける。デュランダルはこの4頭に続く5番手の評価。
やはり出遅れた。瞬く間に終わってしまう中山の1200Mでこの出遅れは痛恨の筈だが、池添騎手は馬の力を信じて後方に待機。ナムラマイカが好スタート。ビリーヴもなかなかだ。まず先頭に立ったのはテンシノキセキ。ビリーヴは5、6番手で追走する。
テンシノキセキとショウナンタイムが競ってかなりのハイペース。前半3ハロンは前年より0.4秒も速い。
縦に長く伸びた馬群も、4角を周って直線に向かう頃には間隔も詰まり横に広がった。すぐにビリーヴが先頭に踊り出てスパートをかけるが、テンシノキセキも負けじともう1度伸びる。ようやく後ろにいたレディブロンドとアドマイヤマックスも迫ってきた。さすがスプリント女王ビリーヴ、迫られても並ばせすらしない。誰もが皆、勝つのはビリーヴだと思う頃、大外からようやくデュランダルがやってきた。残り200Mでエンジン全開、次々と前の馬を抜いてビリーヴに迫る。ゴール前を2頭が並んで駆け抜けた。
僅か15センチしか2頭の間に差は無かったが、池添騎手は勝利を確信し左手を観客席に向かって突き上げ、雄叫びを上げた。
デュランダルの末脚は上がり3ハロン33.1秒。スプリンターズS史上最速の切れ味で勝利を収めた。

2003.11.23 第20回 マイルチャンピオンシップ(G1)京都右外1600M

前年、スプリントを席捲したビリーヴが高松宮記念のあとその能力に少しづつ翳りを見せ始め、スプリンターズSで引退。マイルでは、マイルCSと安田記念を制したアグネスデジタルが地方競馬から天皇賞へと向かい、安田記念で1番人気3着のローエングリンも仏国遠征から帰国してやはり天皇賞から香港へ。エイシンプレストンとアドマイヤマックスも香港へと向かい、2003年のマイルCSは主役不在の混戦模様。

出走馬の中でG1を勝っているのは6頭。NHKマイルCなどのマイル戦で好成績の馬がやはり多い。
1番人気になったのは京都金杯以来9ヶ月ぶりの富士Sで2着のサイドワインダー。レコードで勝ったミレニアムバイオに0.4秒まで迫ったのだから、ひと叩きした今回はさらに上積みが見込めるとの判断か。
2番手は前年、無敗の6連勝でエリザベス女王杯を勝ち、有馬記念で1番人気に支持されたファインモーション。牡馬相手の好走はまだないが距離短縮がここでは良い結果を生むと思われる。そのあとにはミレニアムバイオ、バランスオブゲーム、デュランダルと続く。
格理論で考察してみよう。
G2級は5頭。しかし、鞍上に恵まれなかったり適性のある距離でレースができなかった馬も多く、G2Aはミレニアムバイオとデュランダルの2頭だけだ。
近走に全て○が付いているのはスプリンターズSを勝ったデュランダルと、スワンSを勝ったギャラントアローの2頭。
3歳で挑戦したマイルCSと、距離が長すぎたレース以外では確実に好走してきたデュランダルが5番人気というほうが正直意外だ。
Photo Data:(C)Carrot Lunch
ゲートが開き、各馬揃った綺麗なスタート。今回はデュランダルも遅れなかった。外から上がっていったのはファインモーション。内の馬を気にしながらコース中央に寄せていく。内からはギャラントアロー。得意の逃げに持ち込もうと先頭に立つ。ペリエ騎手騎乗のマグナーテンが上がってきてその後ろにつけプレッシャーをかける。
飛ばしたギャラントアローが刻んだラップは前半4ハロン46秒。これは前年ミデオンビットが記録したのと同じやや早めのペースだ。馬群は伸びて先頭から最後方ロサードまでは20馬身以上の差がついた。1番人気サイドワインダーは中団やや前方につけて仕掛けを窺っている。本来は後方一気の脚質だが内枠スタートで直線出られないのを嫌った。

3角を曲がって残り600M。ついに後続が動き出す。各馬一斉にスパートをかけて、前の2頭を飲み込む津波のように襲い掛かる。しかし力を残していたのかギャラントアローは止まらない。追いつかれるどころか、さらに伸びを見せる。
池添騎手は迷わずデュランダルを外に出すと手綱をしごく。残りは400M。ここから全ての馬を抜かすことができるのか。残り200Mでファインモーションもスパート。その加速はまさに男勝り。後ろから伸びてきたデュランダルと並んでゴールに向かう。この2頭の勢いは凄まじい。次々と内で粘る馬を追い抜き後方に追いやってゆく。残り100Mを切ったあたりでデュランダルはファインモーションを振り切り、ついに最内で踏ん張っていたギャラントアローも捉えたところがゴールだった。
池添騎手は2度デュランダルを指差し、そのあと人差し指を突き立てて「この馬が1番だ!」とアピールをすると、再び大きな歓声が轟いた。

勝ったデュランダルの後半3ハロンは33.5秒。
最後方から前の馬全てを抜き去ったこの末脚はもちろん、出走馬中1番の速さ。中世フランスの武勲詩にでてくる武将の携えた名剣「デュランダル」から取った名前に相応しい斬れ味だった。
10年以上遡ってもマイルCSをそんな後方から差しきった馬などいない。もちろん、33.5秒という末脚で勝利した馬も。池添騎手が言うように「最後は必ず伸びてきてくれる」馬。これからもG1級の末脚を魅せ続けてくれることだろう。



2003年 11月 23日
天気 − 曇り
馬場 − 良

京都 11 R
マイルチャンピオンシップ
G1(定量)

芝 右 1600 M   18 頭立

馬    名 性年 斤量 馬体 全格 出走 芝格 出走 休み 連闘 中央 クラ 別定 特別 馬場 頭数 古混 牡混 他条 タイム 人気 オッズ  
1 11 デュランダル 
池添謙一
4 57.0 452
+6
G2 A 11 G2 A 11
1.33.3 5 8.1  
2 18 ファインモーション 
武豊
4 55.0 484
+2
G3 A 9 G3 A 9
×
1.33.4 2 4.8  
3 3 ギャラントアロー 
幸英明
3 56.0 508
+6
G3 A 10 G3 A 9
1.33.6 10 27.6  
4 10 バランスオブゲーム 
田中勝春
4 57.0 472
+4
G3 A 13 G3 A 13
×
1.33.6 4 6.9  
5 13 ミレニアムバイオ 
四位洋文
5 57.0 494
+10
G2 A 18 G2 A 18
×
1.33.7 3 5.6  
6 8 イーグルカフェ 
藤田伸二
6 57.0 468
+4
G2 B 39 OP B 25
×
×
×
×
×
×
×
×
1.33.8 13 41.9  
7 14 エイシンチャンプ 
安藤勝己
3 56.0 494
-8
G3 B 13 G3 B 10
×
×
×
×
×
×
×
×
1.33.8 7 16.2  
8 2 サイドワインダー 
福永祐一
5 57.0 502
+8
G3 A 18 G3 A 14
×
1.33.8 1 4.5  
9 5 スペシャルカルドゥ
ブフ
- - 57.0 428
0
nodata - nodata -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1.33.8 11 31.8  
10 7 マグナーテン 
ペリエ
7 57.0 512
+2
G2 B 31 G2 B 21
×
×
×
×
×
×
×
×
1.34.0 8 16.5  
11 16 マイソールサウンド 
本田優
4 57.0 466
0
G3 C 19 G3 C 19
×
×
×
×
×
×
×
×
1.34.1 15 85.3  
12 1 オースミコスモ 
常石勝義
4 55.0 436
+8
OP B 20 OP B 20
1.34.1 14 82.9  
13 9 ロサード 
角田晃一
7 57.0 434
+4
OP B 45 OP B 45
×
×
×
×
×
×
×
×
1.34.1 16 88.4  
14 17 テレグノシス 
勝浦正樹
4 57.0 464
0
G2 B 16 G2 B 13
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1.34.1 6 15.5  
15 6 ウインクリューガー 
武幸四郎
3 56.0 488
+14
G3 B 9 G3 B 8
×
×
×
×
×
×
×
×
1.34.1 9 26.3  
16 12 トゥスール 
ファロン
3 56.0 416
0
B 11 B 0
×
-
-
-
-
-
-
-
-
1.34.3 12 34.9  
17 4 テイエムサンデー 
秋山真一
7 57.0 498
+2
OP B 36 OP B 20
×
×
×
×
×
×
×
×
1.34.3 18 164.9  
18 15 イルバチオ 
川島信二
6 55.0 492
0
OP B 46 OP B 28
×
1.34.3 17 146.5  

 

単勝 11 810 円 5 人気
複勝 11 280 円 5 人気
18 260 円 4 人気
3 760 円 9 人気
枠連 6 - 8 1970 円 9 人気
馬連 11 - 18 3240 円 10 人気
ワイド 11 - 18 1340 円 11 人気
3 - 11 2660 円 33 人気
3 - 18 3140 円 43 人気