2003年11月2日
第128回 天皇賞(秋)
Photo:(C)Horses.JP
1988.10.30
天皇賞(秋)を、タマモクロスがオグリキャップを1.1/4馬身抑えて勝利した。天皇賞(春)、宝塚記念とタマモクロスは勝っていたが、どちらのレースにもオグリキャップはいなかった。ファンは初めての直接対決で、G1初挑戦の3歳馬を最も支持したが、勝ったのは2番人気の4歳馬タマモクロスだった。

1989.10.29
この年の天皇賞(秋)でもオグリキャップは1番人気に。しかし今度は若き天才武豊騎手の操るスーパークリークに僅か首差、先着を許した。

1990.10.28
みたび、オグリキャップは天皇賞(秋)に挑戦。有馬記念に勝った。マイルCSに勝った。安田記念にも勝った。そしてここでも1番人気にされたのだが・・・。
勝ったのはヤエノムテキ。2着にはメジロアルダン。オグリキャップは掲示板にも載らない6着に惨敗した。
1991.10.27
この年は「1番人気が勝てない天皇賞(秋)」という印象をさらに強める年となった。
武豊騎手が跨るメジロマックイーンが1.9倍の断然1番人気に応え、圧倒的強さを見せ付けてゴールしたのだが、斜行による走行妨害とみなされ前代未聞の18着に降着処分となったからだ。

92年のトウカイテイオー、93年のライスシャワー、94年のビワハヤヒデ、95年のナリタブライアン、96年のサクラローレル、97年のバブルガムフェロー、そして、誰もが間違いないと信じていた98年のサイレンススズカでさえも、レース途中に故障を発生し安楽死。
99年には4番人気スペシャルウィークがセイウンスカイを粉砕。

12年間、1度も勝てなかった1番人気の馬達は「ジンクス」と呼ばれる幻想を作り出した。
Photo:(C)Horses.JP
世紀末覇王降臨。
1999年の有馬記念でグラスワンダーとスペシャルウィークには及ばなかったものの、2頭に僅か首差まで粘ったテイエムオペラオー。翌2000年はこの馬の年となった。
京都記念ではナリタトップロード、ステイゴールドを下し、この年の初勝利を飾ると、続く天皇賞(春)への登竜門、阪神大賞典をラスカルスズカ、ナリタトップロードを2馬身以上も離して圧勝し、京都へと向かった。

「本番」でも信頼は厚かった。単勝オッズは1.7倍。
不思議な事ではなかった。2番人気のナリタトップロード、3番人気ラスカルスズカ、続くステイゴールドと、みな破って勝負付けは済んでいたのだから。
タマモイナズマ・レオリュウホウが先行する穏やかな流れの中を、中団やや後方で待機。3角の上り坂から他馬と同じく進出開始すると、先に抜け出していたナリタトップロードを追い詰める。和田騎手が気合を込めて鞭を振るうとグイと加速、先頭に立った。しぶとく粘るナリタトップロードも外から飛んできたラスカルスズカも追いつけない。皐月賞から1年ぶりのG1タイトル獲得となった。

いつ負けるのか、誰が負かすのか。皆の目はそこに注がれる。
しかし、その時はまだまだ先の事になるのだった。
この馬が勝つ事は、もう当然の事となっていた。
すでに翳りを見せ始めていた「G1C」のグラスワンダーを2番人気に退け、宝塚記念でもやはり1番人気に推された。
スタートしてすぐ好位につけて折り合い、3角から出てきたラスカルスズカを追いかけながらグラスワンダーと共に進出。壮絶な闘いが演じられるかと思えたのだが、熱戦の主役となったのはテイエムオペラオーとメイショウドトウだった。直線でグラスワンダーは失速。6着ゴール後に鞍上の蛯名騎手が下馬した。
左第3中手骨骨折により、皮肉にも宝塚記念が、グランプリ3連覇ホースの引退が決定するレースとなってしまった。

夏を休み、復帰初戦の京都大賞典でナリタトップロードを頭差抑えて優勝すると、今度は天皇賞(秋)への挑戦を決めた。

この挑戦は「ジンクス」への挑戦ともなった。

やはりテイエムオペラオーはここでも1番人気。魔物が潜むと言われる府中の4角では、この馬もジンクスに屈するのか。
多くの者がジンクスを信じていたのか、ここでの単勝オッズは2.4倍。実績や、他馬との力関係から考えると破格の値だ。
「1番人気馬があんまり勝っていないみたいなんですけど、人気背負ってもドンと構えて、ね」と、和田竜二騎手が言えば、
「う〜ん、わからんよ、これは。府中の2千はねぇ。やってみないと・・・。」と岩元市三調教師からも強気にはとれない発言が出てくる。
陣営もジンクスの前に慎重の構え。
Photo:(C)Horses.JP
大外、ミヤギロドリゴが大きく出遅れ、ステイゴールドも挟まれ不利を受けてバラバラとした波乱含みのスタートになった。まず出てきたのはロードブレーブ。先頭に立ちグングン後ろを離してゆく。出遅れたミヤギロドリゴが懸命に追われて一気に2番手に。3番手にメイショウドトウは前での競馬。テイエムオペラオーは6番手でまさに絶好位。後方からはナリタトップロードがテイエムオペラオーの走りを監視している。
3角手前、和田騎手は周りの馬を妨害しないように見回すと進出開始。内から3頭分ほど外の位置に出すと、前の馬達を抜いていく。高低差2.7mの坂をものともしない素晴らしい加速。1・2・3・4、1・2・3・4、とまるで楽器を演奏するかのようなリズミカルな和田騎手の鞭に応えて先頭に踊り出ると、あとはひたすら突き放すのみ。食い下がるメイショウドトウに2馬身半の差をつけて天皇賞(秋)にも勝利した。

無意味なジンクスは歴史的名馬に容易く覆された。
翌2001年の1番人気もやはりテイエムオペラオー。
G1を7つも勝った馬以上に支持される馬など、いるはずもなかった。
どんな相手でも、どんな馬場でも強いテイエムオペラオーはここでも同様だった。直線先頭で粘るメイショウドトウをあっさり躱すと、馬場に足を取られてふらつきながらも後続を離しにかかる。
しかし、ここからが今までとは違った。大外からテイエムオペラオーを上回る勢いで1頭の馬が伸びてくる。4番人気のアグネスデジタルが外に大きく離れたところでテイエムオペラオーを差し切って勝利した。

2002年の1番人気はテイエムオーシャン。
牝馬限定のG1を3勝し、札幌記念でもコイントス、アドマイヤドンを下して牡馬相手に十分渡り合える事を証明して支持を集めた。
しかし勝ったのは3番人気の3歳馬。東京優駿を2着し、神戸新聞杯に勝った後、菊花賞に向かわずに古馬と戦う事を選択したシンボリクリスエスだ。
翌年、「1番人気」でこのレースを制することになる馬である。

2003.11.2 第128回天皇賞(秋)G1 東京芝左2,000m

2年続けて1番人気馬が敗れ去り、誰もがジンクスを思い出す。
2003年の1番人気は前年、3歳の身ながら天皇賞(秋)と有馬記念を勝ったシンボリクリスエス。
この年初戦は有馬記念から半年のレース間隔で出走したグランプリ宝塚記念。いかなる名馬と言えどもやはりG1に休み明けで出走する事は厳しい。差の無い5着に敗れてしまった。鞍上のK・デザーモ騎手は「道中は最内を通り、楽勝と思えるほど抜群の手応えで直線に向いたが、なぜか調教のような弾ける雰囲気がなかった」と語り、藤沢調教師も「乗り込んでいたから体はできていると思っていたが・・・」とのコメント。なかなか思惑通りに進まないのも競馬の難しいところか。
シンボリクリスエスと陣営の挑戦は続く。次のレースは宝塚記念から4ヶ月を経た天皇賞(秋)だ
「厳しい」ことはわかっている。G1を休み明けで勝つ事も、天皇賞(秋)を1番人気で勝つ事も。しかし師は「4歳秋を迎え馬がしっかりしてきた。宝塚記念のぶっつけとは違う。むしろ宝塚記念を使って楽になった。」と語り、天皇賞(秋)への自信を窺わせた。

2番人気は安田記念で3着し、仏国のG1レース・ムーランドロンシャン賞でも2着に入ったローエングリン。
香港のG1レース・クイーンエリザベス2世Cを勝ち、毎日王冠で3着になったエイシンプレストンが3番手。以下、アグネスデジタル、ツルマルボーイと続く。

格理論で考察してみよう。

G1級はシンボリクリスエスとアグネスデジタル。宝塚記念で5着に敗れたシンボリクリスエス、同じく宝塚記念で13着惨敗のアグネスデジタル、どちらもG1Bである。
G2級は5頭、G3級が2頭となかなか揃ったが、近走に全て○がついているのはオールカマーで2着したファストタテヤマのみ。かなり混戦模様の天皇賞(秋)とみられるが、敢えて優劣をつけるならば、距離適性と騎手で優るシンボリクリスエスを中心に、相手はG1級とG2級に的を絞るべきか。
Photo:(C)Horses.JP
揃ったスタートからツルマルボーイは早々と最後方に下げいつもの位置に。出て行ったのはローエングリン。逃げて自分のペースで走れた時の強さは折り紙つきで、後藤騎手も当然の如く先頭に導く。外から迫ってきたのは吉田騎手騎乗のゴーステディ。両騎手の間には4年前にトラブルがあり、残念ながら2人に譲れない状況がレースの中で生まれてしまった。
みるみるうちにペースが上がる。飛ばす2頭が前半1,000mを通過した時の時計は56.9秒という稀に見るハイペース。観客は動揺を隠せない。
シンボリクリスエスは中団でじっくり待機。ペリエ騎手と一体になり、観ている者に不安を与えない確かなレースぶり。
4角で後続が迫りゴーステディは馬群に飲み込まれてゆくが、ローエングリンは止まらない。残り300mを切ってもまだ先頭だ。捉えようと各馬一斉にスパートをかける。
シンボリクリスエスは残り200mで脅威の加速を見せると粘るローエングリンを並ぶ間もなく追い抜き、一気に先頭に踊り出る。その末脚は桁違いだ。抜かされた馬達は為す術もないままゴールに向かう。
1頭、脚色の違う馬が外から伸びてきた。最初から最後までひたすら後方に待機していたツルマルボーイだ。一完歩ずつ伸びてシンボリクリスエスに迫る。
届くか?!と思わせる素晴らしい伸びだったのだが「1.58.0」という1999年にスペシャルウィークが刻み込んだレコードと同じ時計で走り抜けたシンボリクリスエスには僅かに足りず、前までの距離を1馬身半まで詰めたところが残念ながらゴールだった。シンボリクリスエスとペリエ騎手は見事、1番人気に応えてみせた。

Photo:(C)Horses.JP
1番人気で勝つ事は、天皇賞(秋)だけでなく、実はどのレースでも難しいことだ。
重圧、他馬・他騎手のマーク、レース中の歓声などが1番人気の馬と騎手には容赦なく襲いかかる。
しかし「名馬」と称される馬達の中には、1番人気は当然で、あたりまえのように勝ち続ける馬もいる。
これからも、ジンクスなどものともせずに勝ち続ける名馬が私達の前に現れてくれる事だろう。



2003年 11月 2日
天気 − 晴れ
馬場 − 良

東京 11 R
天皇賞(秋)
G1(定量)

芝 左 2000 M   18 頭立

馬    名 性年 斤量 馬体 全格 出走 芝格 出走 休み 連闘 中央 クラ 別定 特別 馬場 頭数 古混 牡混 他条 タイム 人気 オッズ  
1 18 シンボリクリスエス 
ペリエ
4 58.0 534
+10
G1 B 12 G1 B 12
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1.58.0 1 2.7  
2 7 ツルマルボーイ 
横山典弘
5 58.0 460
+2
G2 A 24 G2 A 24
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1.58.2 5 9.6  
3 4 テンザンセイザ 
藤田伸二
5 58.0 482
+2
OP A 22 OP A 20
×
×
×
×
×
×
×
×
1.58.4 10 31.0  
4 2 エイシンプレストン 
福永祐一
6 58.0 480
-6
G2 A 30 G2 A 24
×
1.58.5 3 7.5  
5 12 カンファーベスト 
安藤勝己
4 58.0 466
0
OP A 19 OP A 14
1.58.6 8 22.2  
6 1 サンライズペガサス 
柴田善臣
5 58.0 488
+6
G2 A 13 G2 A 13
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1.58.7 12 46.7  
7 10 ファストタテヤマ 
安田康彦
4 58.0 454
0
G3 A 19 G3 A 19
1.58.8 9 24.0  
8 9 ロサード 
武幸四郎
7 58.0 430
-6
OP B 44 OP B 44
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1.59.0 14 87.6  
9 16 イーグルカフェ 
田中勝春
6 58.0 464
+2
G2 B 38 OP B 24
×
×
×
×
×
×
×
×
1.59.0 13 52.2  
10 6 ダービーレグノ 
幸英明
5 58.0 452
-6
OP A 32 OP A 32
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1.59.1 11 38.7  
11 17 ヤマノブリザード 
勝浦正樹
4 58.0 516
+4
OP C 16 OP C 12
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1.59.1 17 197.6  
12 3 トーセンダンディ 
江田照男
5 58.0 512
-2
1000 B 24 1000 A 15
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1.59.2 16 169.8  
13 5 ローエングリン 
後藤浩輝
4 58.0 478
0
G2 A 18 G2 A 15
×
-
-
-
-
-
-
-
-
1.59.7 2 5.6  
14 15 トーホウシデン 
蛯名正義
6 58.0 428
-2
G3 A 16 G3 A 16
×
1.59.8 7 20.4  
15 14 トレジャー 
五十嵐冬
5 58.0 520
+2
1600 C 26 1600 C 24
×
×
×
×
×
×
×
×
2.00.1 18 207.0  
16 8 モノポライザー 
武豊
4 58.0 454
0
1600 A 12 1600 A 11
×
2.00.1 6 10.6  
17 11 アグネスデジタル 
四位洋文
6 58.0 468
-3
G1 B 30 G1 B 11
×
-
-
-
-
-
-
-
-
2.00.4 4 7.9  
18 13 ゴーステディ 
吉田豊
6 58.0 514
+4
1600 B 25 1600 B 25
×
×
×
×
×
×
×
×
2.02.7 15 123.1  

 

単勝 18 270 円 1 人気
複勝 18 140 円 1 人気
7 250 円 4 人気
4 560 円 10 人気
枠連 4 - 8 710 円 1 人気
馬連 7 - 18 1310 円 3 人気
ワイド 7 - 18 530 円 3 人気
4 - 18 1820 円 24 人気
4 - 7 2950 円 38 人気