2002年11月23日
第3回 ジャパンカップダート
「クロフネ先頭だ。クロフネ先頭!クロフネ、3馬身から4馬身のリード。これは強い!」

今でも脳裏に焼き付いて離れない、クロフネが7馬身という圧倒的リードを保ってゴールしたジャパンCダート。
NHKマイルCを勝った馬がジャパンCダートでさらに強い勝ち方で勝利を収めたのだが、まさかその翌年にもNHKマイルC馬がこのレースを制するとは、多くの者が考えてはいなかった。
Photo:(C)Horses.JP
1996年に創設されたNHKマイルC。
東京優駿に出走できない外国産馬が多く出走する為、「マル外ダービー」と表現される事もある。しかし、毎年強力な「マル外」が顔を揃え、そして勝利を積み重ねていくのだから的確な表現のようだ。

2000年NHKマイルC。
母の父にはブラックホークなどの多くの大物を輩出したヌレイエフを持ち、父にはG1・7勝のガルチという米国産のイーグルカフェも、そんなマル外の中の1頭だった。
京成杯では2着し、共同通信杯4歳Sを勝利したイーグルカフェはこのNHKマイルCではマチカネホクシンに次ぐ2番人気に推された。スイートオーキッド、アグネスデジタル、トーヨーデヘアが以下に続く。
道中、中団やや後方からの競馬で、残り400Mを過ぎると大外から一気に抜け出し、4角で内から進出して伸びてきたトーヨーデヘアと、外内離れた大接戦を演じながら僅かに鼻差だけ先着してNHKマイルCの勝者となった。

翌2001年のNHKマイルC。
ここには外国産馬が今まで「鎖国状態」だった東京優駿で勝利する事を願って「クロフネ」と名付けられた馬が出陣してきた。「NHKマイルCで2着以内に入線」という条件を満たせばマル外のクロフネでも東京優駿の出走権を手にする事ができたからである。
ラジオたんぱ杯ではアグネスタキオン、ジャングルポケットに遅れをとって敗れてしまったが、その3ヶ月後には毎日杯でコイントスに5馬身、ダイタクバートラムに10馬身の差をつけて勝利し、単勝1.2倍の支持を受けて堂々の登場だ。

スタート直後、今までのレースでは好位抜け出しで勝ってきたクロフネが後方に下げられて直線に備える競馬に、観衆は少なからず動揺させられた。先頭は13番人気のグラスエイコウオー。気分よく自分のペースで逃げている。2番手には12番人気のサマーキャンドル。しかし観ている者は皆、この2頭がいずれ捕まる事を確信しクロフネの圧倒的勝利に想いを馳せていた。
しかし直線に向いてもこの2頭の脚色は鈍らない。いや、鈍るどころか、さらにその脚はスピードを上げて後続との差を広げてゆく。人々の心拍数が瞬く間に上がり、その瞼が閉じる事を忘れた残り200M。クロフネが引き絞った矢を解き放つように飛び出してきた。ゴール直前ギリギリのところでグラスエイコウオーをかわして勝利した。
Photo:(C)Horses.JP
見事NHKマイルCに勝利したイーグルカフェはその後、勝利から大きく遠ざかってしまう。負け続ける事20連敗。再び勝星をあげたのはその2年2ヶ月後の七夕賞だった。この20連敗の中には1度だけ「2着」が含まれている。2001年の武蔵野Sだ。

NHKマイルCで切符を手に入れたクロフネは、鎖国を破る「黒船」として東京優駿に参戦した。ジャングルポケットに次ぐ2番人気でレースを迎えたクロフネだったが直線で伸びず、5着に惨敗した。
休養を経た後、菊花賞への出走権を目指して神戸新聞杯にも出走したが、無念の3着。
更に、天皇賞・秋に参戦を表明するがここでも「鎖国」がクロフネの邪魔をする。対象レースの結果と獲得賞金から出走する事が出来ず、その溢れ出る能力の鉾先を武蔵野Sに向けた。

武蔵野Sでも1番人気に推されたクロフネだが、初のダート戦に飛び抜けた支持は得られず2番人気のエルムS勝者エンゲルグレーセと殆ど差は無い。イーグルカフェも新馬戦以外にダートでの好走例が無く、ここでは5番手の評価だ。
圧巻というより他に無い。クロフネだけが異世界にいた。後方で控えていたクロフネは3角手前から進出を開始。接戦を繰り広げるエンゲルグレーセ、シンコウスプレンダ、イーグルカフェを尻目に、呆気無く先頭に立った時には、もう後続に7馬身差。さらに突き放して、ただ1頭でゴールに飛び込んだ時にはダートの1600Mだというのにまるで芝の1600Mのようなタイム"1.33.3"が計時されていた。今までのレコードを1.2秒も縮める9馬身差の勝利に観衆からは歓声と溜め息が漏れた。
クロフネの遥か後方で2着争いを制したのはイーグルカフェ。NHKマイルCの覇者2頭がダート界の大物達を撃ち破る格好となった。

2001年のジャパンCダートはまさにクロフネの独壇場だった。ジャパンCダート、フェブラリーSの勝者ウイングアローを筆頭にミラクルオペラ、ノボトゥルー、レギュラーメンバー、リージェントブラフ、ハギノハイグレイド、プリエミネンスといった中央ダートG1戦と呼ぶに恥じないメンバー達を相手に、「楽勝」した。やはり3角から進出し、直線ではただ突き放すのみの競馬で2着のウイングアローに7馬身の差をつけてゴール。桁違いの能力を見せつけた。

2002.11.23 第3回 ジャパンカップダート

クロフネが競馬界から去って1年。日本馬の驚異的な能力に臆する事なく、果敢にジャパンCダートに挑戦してきた外国馬は4頭。しかし、出走馬の中でG1を勝っているのはレッドサンのみ。残念ながら「ジャパンカップ」と呼ぶには寂しい印象だ。

1番人気にはベガの息子アドマイヤドン。2歳で朝日杯に勝利して早くも高い能力を証明。さらに3歳になってからも成長を続け、前走、盛岡で行われたJBCクラシックでは、プリエミネンス、カネツフルーヴらに7馬身もの差をつけて勝利し、ここでも主役だと思われていた。
2番人気にはジャパンダートダービーとダービーグランプリを勝利した、同じく3歳のゴールドアリュールである。以下に、G1・2勝の古豪トーホウエンペラー、ハギノハイグレイドと続いた。クロフネの2着に入った事など人々に忘れ去られてしまう程に、久しぶりにダートを走るイーグルカフェは鞍上にL・デットーリを迎えながらも5番人気という低評価である。

格理論で考察してみよう。
G2級はトーホウエンペラー、ゴールドアリュール、アドマイヤドンの3頭。3頭とも中央での好走が無かった為、近走には△すら付いてはいない。
G3級は5頭。この中ではスマートボーイのみがエルムSで好走し、クラスにのみ×が付いている。
格・近走とも傑出した馬がいない上に、海外馬も出走しているのでかなり混戦ムードだ。
Photo:(C)Horses.JP
ゲートが開き、僅かに出遅れたのは人気のトーホウエンペラーとスマートボーイ。今まで逃げて好成績を収めてきたスマートボーイにこの出遅れは痛い。ハナを奪ったのはアルアラン。オグリキャップ記念を逃げ切った事もあるだけに、ここはチャンスと果敢に攻めていく。2番手にはアブリーズとゴールドアリュール。アドマイヤドンがそのすぐ後ろでマーク。中団やや後方にはハギノハイグレイド、イーグルカフェ。後方からは得意の待機策のリージェントブラフ。出遅れたスマートボーイは大胆にも最後方からの競馬。
緩やかなペースと、中山コースの特性を考慮してか、3角を過ぎる頃には各馬一斉に動き出した。ゴールドアリュールが2番手、アドマイヤドンが3番手に早くも進出、ジリジリと上がってきたのはイーグルカフェ。直線に向く頃にはアドマイヤドンとゴールドアリュールの3歳馬2頭が先頭のアブリーズを捉え、押し切ろうとしている。しかし、内から僅かな隙間を抉じ開けて弾け飛んできたのはイーグルカフェ!L・デットーリの猛烈な鞭に応え、一気に先頭に立ちゴールへ向かう。大外からは今までジッと我慢していたリージェントブラフが最速の上がりで3歳馬達をまとめてかわすもイーグルカフェには届かない。1馬身の差は縮まらないままゴールした。

米国のコールダーセールで43万ドルで落札されたクロフネ、同じく米国のバレッツマーチセールで37万5000ドルで購入されたイーグルカフェ。どちらも早い段階で芝のレースで好走していたが、ダート競走で更に素晴らしい能力を見せつけた。
地方競馬と中央競馬の交流もすすみ、G1も多く設けられた。ダート競走の認知度も格段に上がり環境はかなり整ったと言えよう。いずれまた、脳裏に焼き付いて離れないほど強い馬が現れるに違いない。



2002年 11月 23日
天気 − 曇り
馬場 − 良

中山 11 R
ジャパンカップダート
G1(定量)

ダート 右 1800 M   16 頭立

馬    名 性年 斤量 馬体 全格 出走 ダ格 出走 休み 連闘 中央 クラ 別定 特別 馬場 頭数 古混 牡混 他条 タイム 人気 オッズ  
1 9 イーグルカフェ 
デットー
5 57.0 472
0
OP B 30 B 7
×
×
×
×
×
×
×
×
1.52.2 5 20.8  
2 3 リージェントブラフ 
吉田豊
6 57.0 522
+13
G3 B 45 G3 B 42
×
-
-
-
-
-
-
-
-
1.52.4 13 124.6  
3 2 アドマイヤドン 
藤田伸二
3 55.0 454
+3
G2 A 9 G3 A 2
×
×
×
×
×
×
×
×
1.52.4 1 2.2  
4 1 プリエミネンス 
柴田善臣
5 55.0 490
+10
G3 A 36 G3 A 25
×
-
-
-
-
-
-
-
-
1.52.6 6 25.3  
5 8 ゴールドアリュール 
武豊
3 55.0 508
+17
G2 A 11 G2 A 4
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1.52.6 2 2.6  
6 4 トーホウエンペラー 
菅原勲
6 57.0 494
-2
G2 A 31 G2 A 12
×
-
-
-
-
-
-
-
-
1.52.7 3 9.7  
7 15 スマートボーイ 
伊藤直人
7 57.0 482
-6
G3 B 52 G3 B 50
×
1.53.2 12 93.7  
8 14 ハギノハイグレイド 
ペリエ
6 57.0 516
+6
G3 B 32 G3 B 27
×
×
×
×
×
×
×
×
1.53.3 4 13.0  
9 7 リーバズゴールド 
フローレ
5 57.0 552
0
B 28 B 0
×
-
-
-
-
-
-
-
-
1.53.6 11 65.8  
10 16 ビーマイナカヤマ 
鹿戸雄一
8 57.0 488
0
OP A 50 OP A 43
×
×
×
×
×
×
×
×
1.53.9 15 195.2  
11 5 カネツフルーヴ 
松永幹夫
5 57.0 548
+6
G3 A 24 G3 A 17
×
-
-
-
-
-
-
-
-
1.54.0 8 38.5  
12 11 アブリーズ 
ミグリオ
7 57.0 486
0
B 32 B 0
×
-
-
-
-
-
-
-
-
1.54.6 10 56.3  
13 10 ダブルハピネス 
河内洋
5 57.0 528
0
OP A 23 OP A 18
1.54.6 7 28.5  
14 6 レッドサン 
コーツィ
6 57.0 502
0
B 27 B 0
×
-
-
-
-
-
-
-
-
1.57.6 9 46.6  
15 12 アルアラン 
本田優
6 57.0 480
-4
OP B 42 OP B 39
×
-
-
-
-
-
-
-
-
1.59.3 16 205.0  
16 13 パプウス 
スボリク
5 57.0 498
0
B 21 B 0
×
-
-
-
-
-
-
-
-
2.00.3 14 178.9  

 

単勝 9 2080 円 5 人気
複勝 9 380 円 6 人気
3 1290 円 11 人気
2 130 円 1 人気
枠連 2 - 5 3200 円 11 人気
馬連 3 - 9 60100 円 69 人気
ワイド 3 - 9 11280 円 68 人気
2 - 9 940 円 8 人気
2 - 3 4280 円 33 人気