2002年11月10日
第27回 エリザベス女王杯
[fine]・・・「美しい」「立派な」
[motion]・・・「動き」「身振り」
[ファインモーション]・・・競馬史に新しい記録を残した名牝に与えられた名前だ。

97年のジャパンCを制し、5カ国でG1・6勝を挙げる驚異的な活躍を見せたピルサドスキーを兄に持ち、デインヒルという数々の活躍馬を輩出した種牡馬が父という境遇のもと、99年1月アイルランドで1頭の牝馬が生を受けた。
99年4月、伊藤雄二調教師がアイルランドを訪れた時、この馬と運命の出会いを果たした。まだ生後3ヶ月にも満たないこの馬を師が見た瞬間、師の背中には「エアグルーヴを初めて見た時以上の電気」が走った。師は即座に、もう買い手が決まっていたこの馬を日本に連れて帰る事を決断し、購入した。
Photo Data:(C)Carrot Lunch
順調に成長を遂げ、ファインモーションと名付けられたこの馬のデビューは01年12月となった。血統、調教からも前評判は非常に高く、また鞍上には武豊騎手という安心感からか、単勝1.1倍という驚異のオッズだった。2番人気のペリエ騎手騎乗のネオマエストロが10.4倍なのだから、いかに多くの人々に注目されていたかというのが窺い知れる。
レースはやはりファインモーションの独壇場だった。ゲートが開きスッと先頭に立つと自分のペースで歩を進め、直線では鞭も使わず2着に4馬身の差を付けてゴールした。

圧勝でデビューを飾ったファインモーションは、その後のさらなる成長に向けて8ヶ月の休養に入った。再びファンの前にその姿を見せたのは函館の500万下条件戦だった。8ヶ月ぶりの実戦は古馬との対戦となった。初めての古馬との対戦を不安視されてか、それとも久々の実戦が与える影響が懸念されたのか、支持は前走ほどではなく2.1倍であった。
しかしここでも圧倒的な強さは揺るがなかった。好位を進んで直線に向いたファインモーションはまたも鞭を受ける事なく、後続を5馬身突き放してゴールした。
レースが終わってこの2.1倍という配当に誰もが後悔したであろう。このあと4戦全てファインモーションの単勝が2倍を超える事などなかったのだから。

ファインモーションはさらに磨き上げられる。
長距離戦を経験する為、今度は札幌・芝2600Mの阿寒湖特別(1000万下)に出走した。ここでもやはりこの馬の能力の前に敵はいなかった。好位を悠々と進むと直線では5馬身突き抜けた。もちろん「鞭はなし」である。

無傷で3連勝を飾ったファインモーションは遂に重賞に挑戦する事になった。3歳牝馬限定のローズS・G2である。まだ1000万下しか勝ち鞍がないにも関わらず、ここでもやはり1番人気になってしまった。2番人気には優駿牝馬3着馬のユウキャラット、3番人気にはクイーンSで3着したサクラヴィクトリアだ。G1を勝っている馬や、重賞で好走している馬がいるにも関わらず、ファインモーションは1.2倍のまたも圧倒的な人気であった。
やはり同世代のしかも牝馬の中に敵はいなかった。いつものように好位を進んで直線あっさりと抜け出し、ほとんど「持ったまま」の状態で2着のサクラヴィクトリアに3馬身の着差をつけて勝利した。
Photo Data:(C)Carrot Lunch
見事、重賞勝利を果たしたファインモーションは堂々とG1へと駒を進めた。やはり3歳牝馬限定のG1レース「秋華賞」だ。鞍上には再び武豊騎手を迎え万全の態勢である。
前走でその強さを見せつけた影響でまたも断然の1番人気。強豪馬が集まるG1だというのに単勝配当はなんと1.1倍である。誰もがファインモーションに優る馬はいないと思っていた。2番人気には岡部幸雄騎手騎乗のシャイニンルビー。前走の紫苑Sで3着に入ったのが好評価につながった。単勝は大きく離された18.7倍。ここまでくると正直呆れてしまう。3番人気には前走ローズSで2着に入ったサクラヴィクトリア。同じく単勝は18.7倍。あとに優駿牝馬2着のチャペルコンサート、紫苑S勝ち馬オースミコスモが続く。
久しぶりのG1の雰囲気に飲まれたのか、2番人気シャイニンルビーが激しくイレこみ外枠発走に。さらにスタート直後にはヘルスウォールとブルーリッジリバーが出遅れるというハプニングに場内がざわめく。するすると先頭に立ったのは、逃げ宣言のユウキャラットだ。この馬が前半3ハロン、35.1秒という穏やかなペースで後続を引き連れていく。ファインモーションは前から5、6番手ぐらいの位置で堂々のレース運び。
誰の目にもファインモーションの強さは明らかだった。3、4角中間から勢いがつくとユウキャラットを並ぶ間もなくあっさりと交わし、後続を引き離していく。後方から追い上げてきたサクラヴィクトリアとシアリアスバイオの2着争いは、遥か3馬身以上も後ろで繰り広げられていた。


2002.11.10 第27回 エリザベス女王杯(G1)

牡馬と比べれば、やはりG1タイトル獲得のチャンスが少ない牝馬達の晴舞台、エリザベス女王杯。2002年も多くの"女王"が集った。
2000年優駿牝馬勝ち馬シルクプリマドンナ、2001年優駿牝馬勝ち馬レディパステル、前走でこのレディパステルを破ったダイヤモンドビコー、2002年優駿牝馬勝ち馬スマイルトゥモロー、他にも前年の阪神JFを勝ったタムロチェリー、牝馬G1で幾度も好走しているローズバドと錚々たる顔ぶれである。

Photo Data:(C)Carrot Lunch
この中に混ざっても全く見劣りしないのが、ここまで無傷の5連勝G1馬ファインモーション。この日もやはり1番人気だ。

格理論で考察してみよう。G3級はG1で度々好走のローズバド。しかし前年のエリザベス女王杯で2着した後は3連敗しG3Dまで落ちている。OP級は5頭。5頭ともOPAである。しかし、古馬、牡馬との対戦がない馬も多く、近走が全て○の馬は1頭もいなかった。
格こそ並んでいるが、鞍上の武豊騎手、中距離への適性なども加味して考えれば、やはりファインモーションが中心になると思われる。さらに、ここまで負けた事がないというのも魅力的だ。

ゲートが開き、各馬揃ったスタート。秋華賞同様まず先頭に立ったのはユウキャラットだ。巧みにペースを自分のものへと変えていく。そのスピードを抑えきれないのか、ファインモーションが掛かりぎみに、逃げ始めたユウキャラットの後ろにつく。2角を過ぎる頃、この緩やかなペースを察知したのかトーワトレジャーが2番手に上がってきた。ファインモーションも3番手でしっかり折り合いをつけた。02年優駿牝馬2着馬チャペルコンサートとペリエ騎手騎乗のダイヤモンドビコーがすぐ後ろでマーク。どの馬もファインモーションを強く意識した走りだ。
3角を過ぎるとやはり後続が迫ってきた。ファインモーションもコーナーを回りながら武豊騎手のゴーサインに応えてラストスパートだ。内のユウキャラットを鮮やかに交わすとグイグイと突き放してゆく。後ろからはペリエ騎手騎乗のダイヤモンドビコーが豪脚一閃飛び出してきた。中団後方で堪えていたレディパステルも弾け飛んでくる。しかし、差は詰まらない。ファインモーションは1馬身、2馬身と間隔を広げてゆく。リボンの付いた尾を揺らしながら、とうとうそのスピードを衰えさせる事なくゴールを駆け抜けた。
Photo Data:(C)Carrot Lunch
無傷の6連勝。これまでに「無敗で古馬G1奪取」を達成した馬は1頭もいない。あの皇帝シンボリルドルフでも成し得なかった記録を、ファインモーションは傍で見る者が「あっさり」という印象を受ける程に強い勝ち方で達成した。ここまでに受けた鞭の回数は全てのレースの中でただの1度だけ。素晴らしい牝馬である。

「エアグルーヴが"ビビッ"ならこの馬は"ビリビリーッ"だよ。」師はファインモーションとの出会いをこう表現した。師に見初められた[FineMotion]。その与えられた名前に相応しい走りをしてみせたのだ。



2002年 11月 10日
天気 − 晴れ
馬場 − 良

京都 11 R
エリザベス女王杯
G1(定量)

芝 右 2200 M   13 頭立

馬    名 性年 斤量 馬体 全格 出走 芝格 出走 休み 連闘 中央 クラ 別定 特別 馬場 頭数 古混 牡混 他条 タイム 人気 オッズ  
1 12 ファインモーション 
武豊
3 54.0 488
0
OP A 5 OP A 5
2.13.2 1 1.2  
2 5 ダイヤモンドビコー 
ペリエ
4 56.0 470
0
OP A 16 OP A 16
×
2.13.6 2 8.3  
3 1 レディパステル 
蛯名正義
4 56.0 458
-2
OP A 15 OP A 14
×
×
2.13.8 4 12.4  
4 13 トーワトレジャー 
田中勝春
5 56.0 464
0
1600 A 18 1600 A 17
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2.13.9 8 57.4  
5 9 ユウキャラット 
池添謙一
3 54.0 466
0
1000 B 13 1000 B 13
×
×
×
×
×
×
×
×
2.14.1 7 45.9  
6 3 スマイルトゥモロー 
吉田豊
3 54.0 430
-4
OP A 7 OP A 7
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2.14.3 5 30.7  
7 11 チャペルコンサート 
熊沢重文
3 54.0 424
+10
1600 A 9 1600 A 9
×
×
×
×
×
×
×
×
2.14.3 9 58.1  
8 6 ローズバド 
後藤浩輝
4 56.0 436
0
G3 D 15 G3 D 15
×
×
×
×
×
×
×
×
2.14.4 3 11.2  
9 8 シルクプリマドンナ 
藤田伸二
5 56.0 454
+2
1600 C 14 1600 C 12
×
×
×
×
×
×
×
×
2.14.4 10 78.2  
10 7 ジェミードレス 
菊沢隆徳
5 56.0 438
-6
OP A 22 OP A 22
×
×
2.14.4 6 42.8  
11 2 ビルアンドクー 
武英智
4 56.0 464
-4
500 A 13 500 A 11
2.14.5 12 114.2  
12 10 タムロチェリー 
和田竜二
3 54.0 458
-2
1600 C 11 1600 C 11
×
×
×
×
×
×
×
×
2.16.1 11 96.0  
13 4 ブルーエンプレス 
武幸四郎
6 56.0 460
-12
1000 B 19 1000 B 18
×
×
×
×
×
×
×
×
2.16.3 13 145.3  

 

単勝 12 120 円 1 人気
複勝 12 100 円 1 人気
5 140 円 2 人気
1 150 円 3 人気
枠連 4 - 8 350 円 1 人気
馬連 5 - 12 360 円 1 人気
ワイド 5 - 12 190 円 1 人気
1 - 12 220 円 2 人気
1 - 5 430 円 5 人気