2000年3月26日
第30回高松宮記念
苔の一念、岩をも砕く。

キングヘイローのG1獲得を多くの人々が待ち望み、そして信じていた。
陣営だけでなく多くの競馬ファン達も・・・。

父・ダンシングブレーヴ。母・グッバイヘイロー。
競馬を趣味とする者ならば1度ぐらいは目にしているであろうこの血統。
とにかくデビューから、いやデビュー前から騒がれていた超良血馬。
両親の獲ったG1の数は11にも上る。
その血を継ぐ者として好走を期待されるのは当然の事と言えよう。

新馬戦。
父・トニービン、母・ダイナアクトレスのトレアンサンブルに1番人気を譲り
2番人気でレースを迎えたキングヘイローは、
「エリート」を甘く見た人間を嘲笑うかのようにあっさりと初勝利を飾ると、続く黄菊賞も手中に収めた。
3戦目で重賞東京スポーツ杯3歳Sに挑戦し後のG1馬マイネルラヴと
3歳コースレコードでワンツーを決め、名馬の道程を堂々と歩み始めた。

順調に歩み始めた彼の前に越えねばならない壁が現れたのは5戦目の弥生賞だ。
新馬戦・ジュニアカップと圧勝してきた、後の2冠馬セイウンスカイ。
キングヘイロー同様重賞勝ちを収めてきたスペシャルウィーク。後にG1を4度勝つ名馬である。
3頭の魅力ある馬の中から最も多くの支持を集めたのはキングヘイローだった。
ラジオたんぱ杯でこそロードアックスに敗れはしたもののファンは素質と実績から彼を支持したのだ。
しかし逃げるセイウンスカイをゴール前捕らえたのは、残念ながらスペシャルウィークだった。
キングヘイローは休み明けの影響か、0.7秒遅れて3着でゴールした。

そして迎えた「本番」皐月賞。
スペシャルウィーク、セイウンスカイに続く3番人気でレースを迎えた彼は、
道中セイウンスカイを睨みながら歩を進め、
1番人気のスペシャルウィークは後方から虎視眈々とチャンスを窺っていた。
直線に入りセイウンスカイが抜け出すが、大外からグイグイとスペシャルウィークが迫る。
キングヘイローも渋太く粘るが、とうとうセイウンスカイが1着でゴールしてしまった。

皐月賞で残念ながら2着に敗れてしまったキングヘイローだが、
なんと彼はこの後も負け続け、この年は1度も勝利する事なく終わってしまう事になる。

続く東京優駿では2番人気に支持されるも4角過ぎで力尽き14着に敗れてしまい、
休み明けの神戸新聞杯ではカネトシガバナー、ボールドエンペラーの3着、
京都新聞杯ではスペシャルウィークの2着と惜しいレースを繰り返し、
3度目の正直、菊花賞ではスペシャルウィーク、セイウンスカイに続く3番人気で臨むも5着に敗退。
続く有馬記念でも6着に敗れてしまった。

陣営は彼を短距離路線に導いた。この決断が彼の大きな転機となる。

鞍上も福永騎手から柴田善騎手に替わり、万全の体制で臨んだ東京新聞杯では
圧倒的な1番人気にしっかり応え、レースレコードでゴールした。
年明け2戦目の中山記念でも更に人気は集中。単勝オッズは1.8倍であったが当然のように
先頭で駆け抜けた。

5度目のG1挑戦は安田記念だ。
1番人気は前年の有馬記念の覇者グラスワンダー。
キングヘイローはかなり離された2番人気。武豊騎乗のシーキングザパールが3番手につけた。
結果は4番人気のエアジハードが勝った。グラスワンダーは惜しくも鼻差敗れた。
期待されたキングヘイローは休み明けの影響か、+10kgの体重が響いたのか
はたまた初めて背負う58kgの斤量が応えたのか11着に敗退した。

その後再び中距離レースに参戦した彼は、残念ながら連対する事もなく敗れ続け、
得意の短距離戦ではマイルCS2着・スプリンターズS3着と好走するも勝利をあげるまでには至らなかった。

時は2000年を迎え、キングヘイローは5歳になっていた。
陣営が初戦に選んだのはなんとダートのG1フェブラリーSだった。
キングヘイローは1番人気に支持されたがスペシャリスト達の前では為す術もなく
13着という東京優駿以来の屈辱的な着順でゴールした。


待ちに待ったその時がついに訪れる。


2000年3月26日 中京競馬場 第11レース 第30回高松宮記念。

出走馬もかなりの高いレベルで揃った。
スプリンターズSの勝ち馬ブラックホーク。6歳の身ながらスプリンターズS・阪急杯と強豪を下してここに駒を進めてきた。
そしてフランスでG1を勝ち、帰国後すぐにCBC賞にも勝って堂々の4連勝のアグネスワールド。
1998年のスプリンターズSを制覇し、その後も惜しいレースを繰り返していたマイネルラヴ。
彼はこの3頭に続く4番人気だ。

出走馬を格理論で考察してみると、G2級は5頭。
格が上がりにくい短距離勢にしてはハイレベルなメンバー達だ。
近走・距離適性も含めて考えると阪急杯を1番人気で勝ってきた「G2A」ブラックホークが有利な印象だ。
年齢と鞍上にはやや不安を覚えるが1番人気も頷ける。

キングヘイローも格では劣らないものの、休み明けにダートを1度使っただけでは、はっきりした判断はしかねるところだが
距離適性と鞍上を加味すれば十分勝機はあると考えた。

ついにG1挑戦も11度目である。
1200Mから3000Mまで、果てはダートまでも参戦したキングヘイロー。
今度こそ先頭でゴールして欲しいと願う者は相当な数がいたに違いない。
私も含めて・・・。

ゲートが開くと各馬一斉に飛び出した。
1頭ダッシュがつかないのはブロードアピールだ。
メジロダーリングがグイグイと速度をあげて各馬を引っ張っていく。
そのすぐ後ろをアグネスワールドが堂々と追走。
ブラックホークとキングヘイローは中段からやや後方といったあたりだ。
最終週でやや悪化した馬場を、メジロダーリングが前半3ハロン33.1秒のハイペースでとばしていく。

4角を過ぎて早くもアグネスワールドが先頭に立とうとするが、
内からそれを許すまじとディヴァインライトが素晴らしい脚で伸びてくる。
外からは後方で待っていたブラックホークがこの2頭を捕らえようと襲いかかる!

次の瞬間、私の目に飛び込んできたのはこの全てをただ1頭の馬が別次元の脚で抜き去る光景だった。
大外からもうすっかり見慣れた独特のフォームで、柴田善騎手の必死の鞭に懸命に応えながら
先頭を走るディヴァインライトを、キングヘイローが捉えたその時がゴールだった。

坂口正大調教師はレース後に
「ツキに見放され、もうG1には縁が無いのかと思った。でもこの馬の力は信じてきました」
と語った。

ただひたすら信じ、試行錯誤し、努力し続けた馬と陣営の力で獲得したG1タイトルである。

 

2000年 3月 26日
天気 − 曇り
馬場 − 良

中京 11 R
高松宮記念
G1(定量)

芝 左 1200 M   17 頭立

馬    名 性年 斤量 馬体 全格 出走 芝格 出走 休み 連闘 中央 クラ 別定 特別 馬場 頭数 古混 牡混 他条 タイム 人気 オッズ  
1 13 キングヘイロー 
柴田善臣
5 57.0 490
-4
G2 A 20 G2 A 19
×
×
×
×
×
×
×
×
1.08.6 4 12.7  
2 7 ディヴァインライト 
福永祐一
5 57.0 460
-4
1600 A 12 1600 A 11
1.08.6 8 37.2  
3 5 アグネスワールド 
武豊
5 57.0 510
+2
G2 A 15 G2 A 12
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1.08.7 2 2.7  
4 16 ブラックホーク 
横山典弘
6 57.0 534
+10
G2 A 17 G2 A 17
1.08.7 1 2.2  
5 4 トキオパーフェクト 
岡部幸雄
5 57.0 456
-6
OP A 16 OP C 11
×
×
×
×
×
×
×
×
1.08.8 9 47.7  
6 12 スギノハヤカゼ 
田島裕和
7 57.0 500
-2
G2 C 26 G2 C 26
×
×
×
×
×
×
×
×
1.08.8 7 32.2  
7 14 マイネルマックス 
勝浦正樹
6 57.0 508
-4
OP C 28 OP C 28
1.08.9 12 196.6  
8 3 ブロードアピール 
武幸四郎
6 55.0 460
-6
OP A 18 OP A 17
1.08.9 5 25.9  
9 8 トロットスター 
後藤浩輝
4 57.0 450
0
1000 A 13 500 A 7
×
×
1.09.0 11 109.3  
10 10 タイガーチャンプ 
山田和広
8 57.0 464
0
1600 B 33 1600 B 32
×
×
×
×
×
×
×
×
1.09.1 16 736.6  
11 6 ダイタクヤマト 
高橋亮
6 57.0 512
+16
1600 A 26 1600 A 23
×
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1.09.1 13 232.6  
12 2 タイキダイヤ 
四位洋文
4 55.0 474
0
OP A 9 OP A 7
1.09.1 6 31.3  
13 17 スピードスター 
吉田稔
7 57.0 484
-4
500 B 52 500 B 41
×
×
×
×
×
×
×
×
1.09.3 17 745.7  
14 1 メジロダーリング 
吉田豊
4 55.0 486
-2
1600 A 14 1600 A 14
×
1.09.4 10 86.1  
15 9 シンボリスウォード 
橋本広喜
5 57.0 494
0
OP C 17 OP C 16
×
×
×
×
×
×
×
×
1.09.4 14 276.8  
16 15 マイネルラヴ 
蛯名正義
5 57.0 508
-4
G2 C 18 G2 C 16
×
×
×
×
×
×
×
×
1.09.8 3 5.4  
17 11 ストーミーサンディ 
鹿戸雄一
7 57.0 430
-10
1600 B 35 1600 B 35
×
×
×
×
×
×
×
×
1.10.5 15 727.6  

 

単勝 13 1270 円 4 人気
複勝 13 370 円 4 人気
7 530 円 7 人気
5 140 円 2 人気
枠連 4 - 7 8300 円 18 人気
馬連 7 - 13 16330 円 31 人気
ワイド 7 - 13 3170 円 29 人気
5 - 13 760 円 5 人気
5 - 7 1000 円 11 人気